2008年02月15日

十勝とばん馬とやたら多い切符16

16日午後〜夜・肉の思い出

亜美:お昼過ぎになったよー。お空もメチャ晴れだよー。…わんわんはゲーセンを出て、バスで稚内駅に戻ってきたところ…なんだけど…、
真美:すごいぎょーれつだね。この人達みんな、次のとっきゅーに乗るんだよね?
犬 :ま、凄いと言ったって、50人は超えてるって程度だ。むしろ、乗る順番はなるべく後の方がいいくらいだし。
亜美:なんで?
犬 :ざっと6時間の長旅だからさ、騒がしくなりそうな団体さんとは離れた席を選びたいから。
真美:でもさ、駅の案内見たら、次の「サロベツ」っての、3両しかないみたいだよ?
犬 :普段はそう。でも今は観光シーズンだから、6両に増結されてるはずだ。
亜美:そーなんだ。
犬 :たぶん、だけど、旭川を過ぎるまでの、最初の4時間は、けっこうガラガラに近いんじゃないかな。…おっと、列車が来たよ。
真美:はーい! どこに座ろうか、…って、わんわん?
亜美:そんな前までいかなくたって、座れそうだよー? …あれ、いちばん前の電車だけ、色が違うね?
犬 :??? これ、乗っていいんだよな…? 本当に自由席なんだよな…?
真美:誰も来ないよ…。つか、なに、この電車?
犬 :まあいいや、とりあえず乗っちゃえ、と。うわ……。
亜美:なんか、ごーかっぽいドアだね。
犬 :これも写真取り損ねたのが惜しいな…。えっと、引き戸1枚なんだけど、外枠が木でできてて、草木模様の磨りガラスが嵌ってて、ま、雰囲気としては、ちょっとした料亭の玄関扉かな。
真美:…おじゃましまーす、って言いたくなっちゃいそうだね。中は…、
亜美:うわーっ、畳が敷いてあるよ!?
真美:窓のトコには木のテーブルと、座椅子が置いてあって…テーブルの下は…、なにこれ?
犬 掘りごたつ。まずは荷物置いて、…出発まで、煙草吸いに出るよ?
亜美:そっか、6時間、吸えないんだよね。…コタツ?
犬 :うん。冬に布団までかけるかどうかは知らないけどね。通路を挟んで片方が4人掛け、もう片方が2人掛け。
真美:ねえ、この電車、なに?
犬 :これが「サロベツ」の季節車両「お座敷車両」
亜美:ねえ、わんわんの切符って、こーゆーの乗れないんじゃなかった?
犬 :それがね、ゆうべの「はなたび利尻」についていた「ゴロ寝カー」と違って、こっちは自由席なんだよね。…だからこう、なんで誰も来ないのか、かえって気になるよなあ…。
真美:ガラガラなんだから、いーじゃん。
犬 :そだね。…さて、発車かな。…この天気だと、朝は駄目だった利尻富士も、ばっちり見送ってくれるだろうね。
亜美:うー、もーちょっといたかったかも。
犬 :やっぱ、島に渡ってナンボって土地だからね。見るべきものはほとんど野山、草花だから時間もいるし、本気で稚内を堪能するなら、泊まりがけじゃないと駄目だろうね。…次があったらそうしたいかな。
真美:お船に乗って、山登りして、お花見して…。
亜美:おいしーもの!
犬 :あー、さすがにここまでくれば、魚もいいだろうねえ…。俺としては、ここまでくる途中の、士別ってところも気になるんだが。
真美:なにがあんの?
犬 :競馬場。
亜美:…そですか。
犬 :地図を眺めてたらね、駅から歩いて10分くらいだろうってところに、草ばん馬の馬場があるらしいんだよね。
真美:草ばん馬?
犬 :サラブレッドなどの競馬と違って、ばん馬には、…喩えるなら野球みたいなシステムがあるんだよ。
亜美:へー。
犬 :少年野球で目覚めて、中学、高校、時には大学野球までかけてトレーニングして、またその間にふるいにかけられて、プロ選手が生まれるように、北海道の各地で、競走馬になる前の若い仔達が走ってる。…逆に言うと、その間に、プロになる事を諦めざるを得なくなったばん馬も、いっぱいいるんだね。
真美:そーだったんだ。
亜美:プロになれなかったら、どうなっちゃうの?
犬 :さすがに、すぐ食べられるって事はないだろうね。
真美:たっ、食べちゃうの!?
犬 :馬はね…、これがまた、嫌になるくらい旨いんだわ…。
亜美:悲しそーな顔で喜ばないでよ!
犬 :食べるとね、馬券が当たらなくなるんだよ…。
真美:……それは、いつものコトじゃないの…?
犬 :まあ、それはそれとして、これもサラブレッドなどと違うのは、競走馬になれなくても、パパやママにはなれるんだ。ばん馬の新聞を見てるとね、名前に漢字や平仮名が使われてるのもけっこういる。
亜美:走ってたお馬さん達は、みんなカタカナばっかだったね。
犬 :マルオアズサの母「女王」とか、ブルーストーンの母「風乃亜美」とか。ホッカイヒカルの母「マコト寿」なんてのもいるね。
真美:亜美、ママになっちゃったよー。
犬 :こういう馬は、競走馬としては登録もされなかったけど、繁殖としての道が開けたんだね。ばん馬の場合、兼業農家の父ちゃん母ちゃんが、ママ候補を1頭か2頭だけ揃えて、細々と頑張ってる、牧場とは呼び難い小規模な生産者が多いらしいよ。だから、競走馬になれなかったからといって、すぐ見限っちゃうわけにもいかないんだね。

犬 :さてさて、道中は事もなく、札幌に到着するよ。
亜美:ごご7じ…もうすぐ10ぷんになるね。
犬 :あっ! あ、あああーっ!!
真美:どっ、ど、どうしたのわんわん!?
犬 :ホームの向かいの列車、動き出してるっ!
亜美:…あれに乗るつもりだったの?
犬 :まだ、こっち止まってないのにっ! 時刻表では、こっちの到着時刻と、あっちの発車時刻、同じだったのに! 同じホームの向かい同士に止まるって事まで、ちゃんと調べてきたのに…。
真美:待ってくれてもいーのにね。
犬 :…ふう。まあ、大都市近郊の路線だから、15分と待たずに次のがあるからいいようなものの…、ごめん、これで完全に、おいしいもの駄目になったかも。
亜美:えー、またなの…。
真美:今のは、しょーがない気もするけど…。でもわんわん? 帰りの電車まで、あと3じかんくらいあるんじゃなかったっけ。
犬 :でも、それに乗るために、ゆうべ見たような行列に並ばないといけないだろ? だから、20時過ぎには戻ってきたかったんだよね…。
亜美:どこまでいくの?
犬 :ここから各駅で6駅目の、手稲ってところ。そこでメインカードの足跡をつければ、メイン、サブ共に、北海道でいま稼働してる店舗、完全制覇達成なんだ。
真美:それじゃ、いくしかないよね…。
犬 :……。なあ亜美、真美。
亜美:ん?
犬 :どこでも食べられるものだけど、東京とかで食べるよりは、ずっとおいしい、ってものでもいいか?
真美:いーけど、でも、じかんあるの?
犬 :手稲まで20分だから、19時台のうちには着けるだろう。ゲーセンまで徒歩10分のところを、負け犬なりに走って8分に詰める。アイドルマスターのサテライトを探して、足跡つけるのに10分。そして同じ道を帰ってくると、20時半から50分の間には戻ってこられるはず。
亜美:電車が出るのが10じだよね?
犬 :だから、すすきののネットカフェでブログの更新するのを諦めれば、ちゃんとしたものを食べる時間は取れるはずだ。
真美:でも、なるべく早くきて、並んでなきゃダメじゃん! もし座れなくなっちゃったら、朝までタイヘンだよ?
犬 :気にするな。俺は徹夜明けで、米原から渋谷まで、ずっと立ってた事もある。もちろん各駅だ。
亜美:わんわん、なんだかムダにたくましーねっ!
犬 :そう。言うなれば、車中の俺は無敵だ! だから俺の心配なんかしないで、ちょっと旨いもの食べてくれ!
真美:わんわーんっ! ぎゅっ!
亜美:ありがとーっ! だきっ!
犬 :…各方面からの冷たい視線を感じないでもないが、まあいいか…。

犬 :というわけで、今は急行「はまなす」発車10分前。
真美:なんとか座れたんだよね、わんわん。
亜美:わんわんの3つ後ろに並んでた人、結局デッキにしゃがんでるね。
真美:つか、外で見てたけど、わんわん凄かったね…。
犬 :こういう列車に乗る時は、荷物は両手で提げて体の前へ、そしてなるべく体から離して持つ。車内に突入してからは、決して前の人から離れない。そして、前の人がチラッと見てやり過ごした席は、2人掛けの片方が空いているけど、もう一方が塞がっている。
亜美:へー。
犬 :もっといい席があるかも、と思ってやり過ごしたのだから、その気が変わらないうちに、体から離して持っていた荷物を投げ込んじゃう。これで確保。
真美:…ワリコミっぽくない?
犬 :…まあ、ね。1時間や2時間の列車だったら、俺もやらないねえ。でも先が長いから特別だ。いわゆる「カルネアデスの船」だよ。
亜美:なにそれ?
犬 :もしも、乗っていた船が沈没して、大勢の人と一緒に海に投げ出されてしまったとしよう。服は水を吸って重くなり、体も冷やされて体力がなくなってきた。今にも溺れてしまいそうだ。周りにもそんな人がいっぱいいるのが見える。
真美:ゼンタイゼツメーだね。
犬 :たまたまそこへ、1人がつかまるのがやっと、という大きさの漂流木が流れてきた。…ま、これは1人乗りのボートでもいいんだけど。
亜美:だから、ナントカの船なんだね。
犬 :それにつかまるか、乗るかしなければ、確実に死んでしまう。そんな状況下では、あらゆる手段を使って他の人達を蹴散らして、自分だけ助かろうとしても、悪い事だと言えるはずがない、という、哲学のエピソードだ。
真美:わんわん?
犬 :ん?
亜美:いまのバヤイ、それはおーげさだよ…。
犬 :ま、そんなわけで俺は、亜美達を架空の寝台車に送り届けがてら、煙草吸いに出てるわけだ。
真美:わんわんオススメのお肉屋さん、思ってたよりおいしかったー。
亜美:なんか、ただのチェーン店っぽいお店に連れてかれた時には、ちょっとガッカリだったけど、でもマンゾクだね!
犬 :だろ? 店の名前は覚えてなくて、もしかしたら全国チェーンなのかも知れないけど。…でもね、ファミレスとかの肉でも、東京で食べるものとは全然違うんだよね。
真美:うん。食べてみるとすぐわかるよね。
犬 :北海道だからって、どこでも魚がおいしいわけじゃない、ってのは言ったよね。その時に言いそびれちゃったけど、むしろ北海道では、肉料理が狙い目。高級料理に手が出せるなら、なおさらだろうね。
亜美:へー。
犬 :考えてみると、帯広の豚丼にしても、遡れば、開拓時代には食うのも必死だった、って事情があって、そこから、どうやってしっかり食うか、また、どうやったらおいしく食べられるか、と追求してきた結果なんだよね。
真美:なるほどねー。
犬 :余所では…、俺は食べた事ないんだけど、いわゆる京野菜。今では有り難がられてるらしいけど、もともと京都は土地が痩せていて、あえて悪く言えば「あんなもの」しか穫れなかったらしいんだ。それをどうやっておいしくするか、1300年もかけて、なお追求中なんだって。
亜美:レキシを感じるね。
犬 :その土地ならではの料理って、そんな風に、ゼロまたはマイナスからスタートしているって事情を、多かれ少なかれ孕んでいるんじゃないかな。もちろん、さっき食べたみたいなチェーン店では、食材の質に依るところも大きいんだろうけど、土地の歴史を思いながら食べてみるのも悪くないよね。
真美:駅前でそんなコトができちゃうなんて、チョーお得だったかもね!
犬 :うん。ちなみにビックカメラの8階…9階かな…。すぐ下の階には、半年前までアイドルマスターがあったのにな…。
亜美:「プラボ札幌店」だっけ。
真美:もしまだアイマスがあったら、わんわん、あのビルから一歩も出なかったりして。
犬 :うん。
亜美:言い切っちゃったよ!?
犬 :というか、2005年に来た時は、そうだったねえ。
真美:ケイケンずみだよ!?
犬 :新千歳空港から出て来て、プロデュースして肉、旭川に競馬観に行って、夜に帰ってきて、ちょっとだけ違うゲーセン行って、戻って肉食べてプロデュース。それから夜行列車。
亜美:その時もなの!?
犬 :それが木曜日で、日曜日に夜行で戻ってきて、朝にちょっと寄り道してから、札幌に戻ってプロデュース、お昼に肉。新札幌のホテルにチェックインして、洗濯してからキャッツアイによって、札幌へ出てプロデュース。すすきので足跡つけて、札幌に戻ってプロデュース、肉、プロデュース。
真美:わんわん、なにしに北海道にきたの…?



posted by 負犬山禎之丞 at 22:43| Comment(0) | 徘徊録 | 更新情報をチェックする
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