2007年12月06日

癒しの道はマイウェェェッ! 02

 さて、時は1560年。あずささんは小田原の町で浪人生活を送っています。
「短大には、ストレートで合格できたんですけどね〜」
 俺は、大学落ちた時に、家族に向かって「坂本竜馬だって浪人した!」って大見得切りましたけどね。
「それにしても、私…。大昔に来てしまったせいでしょうか〜、なんだか、若くなっている気がするのですが〜」
 ええ。『日輪の章』に登場するギリギリの歳にしたって言ったじゃないですか。…まあ、そうした事で、顔が今とは似てないのも説明がつくかな、と。
「でも…、15歳だなんて……。ただでさえ最近、私が歳を誤魔化していたとか言われているのに〜」
 あれは、あずささんがサバ読んでたんじゃありません! 初めて会った時に、俺が読んでたんです!

※注:あずささんは20歳。ゲーム中、プロデューサーよりは年上と言及する場面が2回ほどある。しかし今年になって、ゲーム制作スタッフが「プロデューサーは20代前半」と口を滑らせた。

「ところで、プロデューサーさん?」
 ……は、はい?
「さっきから、あの…、どこを見て……」
 すっ! すすす済みませんっ! いや、あの…、15歳のあずささんって、俺の知ってるあずささんとずいぶん違うところがあるな、と…。
「うふふ〜。実は私、その頃はまだ、ぺったんこだったんです〜」
 なんとっ! 同い年の千早に聞かせてやったら欣喜雀躍しますよ! じゃ、あの…、いつ頃から…。
「ん〜、たぶん、とらたんが家にきた後からだったような〜」
 飼い犬に刺激されないで下さい! というか、俺も犬ですがいいですかっ!
「お医者さんを目指すと言っても、いったい何から始めたらいいのでしょう〜」
 ……無視された…。というか、あずささんって、ひっぱたいたり悲鳴上げたりってイメージじゃないから、こうするしかなかった…。うう、書き手として前途多難…。
「プロデューサーさん?」
 はい。最初は指導を仰ぐべき医師を探さないとなりませんね。ですが、この小田原には、名の通った医師はいません。ですからまずは、近隣の町を巡って先生探しです。小田原に近い町は、江戸、甲府、そして駿府。この辺りにいればいいんですけどね。
「ちょっとした旅行気分ですね〜」
 …歩くんですよ?
「……私、何日かかるのでしょう〜? それに、いつものように道に迷ってしまいそうです〜」
 街道は一本道ですから大丈夫です。そして、たとえあずささんでも、ゲームの中では他人の5割増くらいのスピードで歩きますから。…とはいえ、実は、最初のその前から始めないといけないんです。
「どういう事でしょう〜? …なぞなぞですか〜?」
 ……。ええと、あずささんの所持金は20貫。先々診療所を開くのに100貫必要になります。小田原も大きい町ですが、ゆくゆくはもっと大きい町へ移る事も考えるかも知れません。転居にも100貫かかります。それに、ただで医術を習えるわけでもありませんから、その費用もいろいろ…。
「困りましたね〜。ではさっそく、テレビ出演するためにオーディション…、あ、その前にレッスンしなくては…」
 今はアイドルじゃないんですからっ! とりあえずはこの町の「座」へ行ってみましょう。
「どんなところなんですか〜?」
 本来は交易品の売買をする施設です。小田原でしたら、紙を仕入れて、他の町で売るのが、利回りが高そうですね。
「行商ですね〜。では、それをしながらお医者さんを探し…」
 紙を1単位仕入れるのに、13貫前後かかりますよ。まあそれでも、うまく行けば10貫ほど儲かりますが。
「地道に貯めていく感じですね〜」
 元手が500貫くらになって、旨い交易ルートをいくつか見つければ、面白いように金が増えていくんですけどね。…ただ、ある程度元手が増えて、仕入れの量を増やせるようになると、今度は山賊に狙われます。
「さっ、山賊…ですか〜?」
 例えば小田原から甲府。一見すると短い道のりですが、山道なだけに、賊に遭うおそれも相当高そうですよ。あずささんの武力だと、そこそこ逃げ回っていけるとは思いますが、1回でも斬られたら病気に、2回斬られたら無一文になりますね。…そこで、交易を避けながら稼ぐ方法が、座に行けばあるんです。
「何でしょう〜」
 座の親父から仕事を請け負うんです。もっとも、交易品の調達や輸送の仕事じゃ、山賊に遭うのは変わりありませんが、例えば他の…、おっ、おあつらえ向きに、甲信地方の特産品調査がありますね。
「それは、どんな事をすればいいのでしょう〜」
 ゲームで甲信地方に当てられているのは、甲府、小諸、諏訪、松倉。最後のは、今で言えば高山ですね。これらすべてに立ち寄って、そこの座で調査をしてくるだけ。それで50貫くれます。ま、ずっと山道になるんで、時間はかかりますが、それでも60日の期限には余裕でしょう。
「それでは、さっそくまいりましょう〜」
 はい。…ああそうだ。腕っ節に自信があるキャラだったら、座より「酒場」の仕事を請け負う方が、実入りがいいですよ。


「はあ、はあ、はあっ……」
 ひいぃ……、う、ううっ…。
「プ、プロデューサーさん……私、もうダメです〜」
 お、俺も、もう……。と言っても、2人で上になったり下になったりしているわけではなく…。
「でも、上に行ったり下に行ったり、大変な道でした〜」
 と、言うわけで、…あずささん、あれが松倉の町です!
「やっと…やっと着きました〜。ここの座で、市場調査をすれば、お仕事はお終いですね〜」
 市場調査と言っても、座に入れば表示されるコマンドを選んで、そこで開くウインドウをざっと見るだけ。内容を覚えたり、メモを取ったりしなくても、一度ウインドウを開いてさえおけば、調査完了と判定されます。ま、交易をきっちり行う場合は、どの町で何が買えるか、という程度はざっと覚えておくと楽ですけどね。
「大変な旅でしたけど、大きな収穫がありましたね〜。最初に寄った甲府の町に、お医者さんがいる事もわかりました〜」
 ええ。まずは先生ゲットですね。…技能を教わる相手には、ざっと2通りあるんです。まず1つは、知り合った人物、どこかの武将なり浪人なり、その人を訪ねて行って習う形になります。
「では、お知り合いをいっぱい増やすといいんですね〜」
 ただしこのタイプには、難点もあります。1つは、その人との「親密度」が、ハートマーク1つ半くらいまで上がっていないと駄目。もう1つは、その人の技能レベル以上の事は教えてもらえない。
「親密度って、何でしょう〜」
 まあ、漠然とはわかってますよね? どうやって上げるかという話をしますと、まあ相手の気に入りそうなものをくれてやればいいんです。
「なるほど〜」
 どの年代でも、ざっと600人からの人物がいるんですが、その一人一人に、好きなものが設定されています。ま、武器か、書物か、南蛮物か、茶器または書画といった芸術品か、このどれかですが。
「うーん…」
 どこかに仕えている人の場合、親密度ハート2つまで上げると、同じ城なり商家なりにいる他の人物の好みも教えてくれます。ただし…、
「ただし?」
 贈り物の好みの他、「欲」というものも設定されているんです。物欲のない人が相手だと、プレゼントした時の反応もやたら薄いんですよね…。
「大変です〜」
 家康麾下の武将なんかほとんどこれで…。まあいいです。あとは贈り物の他に、お茶を振る舞う手もありますけどね。これはいずれ。
「では、甲府のお医者さんには、どんな物を差し上げたらいいんでしょう〜?」
 その心配はありません。さっき、2通りと言ったもう一方なんです。こちらは特定の施設に通って習う事になりまして、医術を始め、開墾、礼法、算術、茶道、騎馬、鉄砲、水軍、武芸、忍術はこのタイプです。この場合、先生役を務める事も生業の一部ですので、お金を取られる代わりに、親密度はまったく関わりなしに教えてくれます。
「よかったです〜。それではさっそく、小田原に帰って、そして…。あ、でも…、医術を修めるには、どのくらいお金がかかるんでしょう〜?」
 結論を言いますと、順調にいって267貫です。ま、失敗したらロードし直しますんで、必ず順調にいくんですが。
「…それでは、…お仕事のお給料をいただいても、まだ200貫近く足りません〜」
 そこで、ほんのちょっと冒険をしてみましょう。
「…冒険、ですか〜…?」
 交易しながら帰るってだけですけどね。
「で、でも…、プロデューサーさん、危ないって言ったじゃないですか〜」
 ええ。ここまでは、です。ここからはそうでも……、ええと、松倉から小田原へ向かう場合、いままで来た山道続きのルートを採るより、井ノ口の町へ出て、東海道を下る迂回路の方が、早くて安全なんです。あ、もちろん、下るってのは、この時代だからですよ?
「安全、ですか〜?」
 ええ、五街道の筆頭なだけに、周りも開けていて山賊の潜む場所に乏しく、そもそも警備が、この時代なりにしっかりしてます。そして沿道には、これまでよりずっとたくさんの町がありますから、儲けの種も多いって事ですね。
「なるほど〜」
 具体的には…、松倉からは、まだ山道なので手ぶらで行くとして、井ノ口…現代で言う岐阜で紙を仕入れて清洲で売る、そこで針を仕入れて岡崎、針を売って綿花を仕入れ、浜松で売る。浜松では、あんまり旨い物件がないので手ぶらで出て、駿府で茶を仕入れて、浜松へ戻る。
「…戻ってしまうんですか〜?」
 ええ。駿府は小田原の隣町になりますが、ゴール寸前に、箱根の山は天下の険がありますからね。東海道ではいちばん危ない場所です。
「では、そこは手ぶらで越すんですね〜」
 はい。このゲームの山賊は、身につけた物には手を出しませんから、たとえ10万貫持ち歩いていても、交易品さえもっていなければ襲ってきません。
「紳士な方ですね〜」
 ええ、女性キャラだろうと、男性以上の事はしませんから文字通り紳士です。πタッチすらしませんよ。
「この際、山賊さんがプロデューサーさんになってくれたら安心です〜」
 ……いささか凹みました…。
「ところでプロデューサーさん? お仕事のお給料をいただく前ですから、交易をしてもあんまりお金にならないのでは…?」
 あずささんは算術と弁舌とが最高に近いですから、値段交渉が簡単にいきます。井ノ口で仕入れるのは、紙1単位ですが、小田原に帰る時には、おそらく700貫くらいは持っているんじゃないかと。
「お、大金持ちになってしまいます〜」
 まったくなってません! とは言え、生活費というものが発生しない世界ですんで、診療所を開いてしまえば、あとは儲けなくてもなんとかなるんですが。
「それでは、さっそく大金持ちの旅に出かけましょう〜」
 だから、違いますってば……。
posted by 負犬山禎之丞 at 21:24| Comment(0) | 朦朧堂、脱線の間 | 更新情報をチェックする
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