2007年07月14日

十勝とばん馬とやたら多い切符03

14日朝・上陸

亜美:はーい、夜が明けて、今日は7がつの14っか、土よーび、6じ30ぷんでーす。
真美:うー、朝になっても、やっぱ少し寒いね…。
犬 :東京の夏とは別世界だって、頭ではわかってたんだけどな…。もう少し厚いセーター持ってきてもよかったか…。
真美:んで、今日はどこへ行くの?
犬 :まず、ゆうべ降りた新青森から、6時58分の列車に乗って青森へ戻る。そして7時30分発の特急、白鳥41号に乗って、9時25分に函館に着く予定だ。
亜美:じゃ、いよいよ北海道なんだね?
犬 :そう。その間、8時7分の予定で津軽今別という駅を出ると、すぐに青函トンネルに入る。これは何だか知ってるよな。
真美:はーい! 海の下を通ってるんだよね?
犬 :そう。もちろん、いきなり海の下まで降りられはしないから、少しずつ少しずつ、その深さまで降りていく。だから、3分の2以上は陸地の下を通ってるんだけどね。
亜美:へー。
犬 :それでな、青森側も北海道側も、入り口は山の中って感じなんだ。だから、これから海の下へ行く、って印象はあんまり無いんだよね。
真美:えー。真美、海見たかったよー。
犬 :安心しろ。北海道に入ったら、ほとんど海沿いを通るから。…さて、そんな話をしながら歩いているうちに、昨日通った迂回路に入ったぞ。
亜美:え? なにあれ!? メッチャ長いがっこーみたいなのができてるよ!?
犬 :学校? …ああ、ちょうど3階建てくらいの高さで、コンクリート製だから、見ようによっちゃ校舎に見えるか…。あれはね、あの上に線路を敷くんだ。
真美:んじゃ、新しい電車が走るんだね?
犬 :うん。
亜美:そーだよね。がっこーなわけないよね。だって、端っこ見えないくらい長いもん。
犬 :そうだろ? あれは、…まあ全区間が高架にはならないかも知れないけど、昨日新幹線を降りた、八戸まで続くんだ。
真美:じゃ、この線路、もしかして新幹線と繋がるの?
亜美:そんなわけないよ真美。だってココの駅、メッチャ小さかったよ?
犬 :だから、これからメッチャ大きくするために、階段とかいっぱい積んであったんだってば。
真美:そうだったんだ! …あれ? でも、隣りにおっきな駅あるのに、どうしてこっちに来ちゃうの?
犬 :それはね、この地図を見てくれ。

犬 :青森駅の向こうは、すぐ海なんだ。昔は、列車を降りた人達は、そのまままっすぐ進んで、北海道へ行く船に乗り換えてたそうだよ。今でも、駅の北側の波止場に、その時の船が係留されてて、博物館か何かとして使われてる。
亜美:へー。
犬 :でも、すぐに海だとさ、その先に線路は敷けないだろ。特に新幹線は、なるべくまっすぐに作ってるから。輝いた未来。
真美:真美が言おうとしてたのにーっ!
亜美:真美? それって、わんわんとおんなじレベルってコトだよ?
犬 :新横浜、新富士、新大阪、新神戸、新倉敷、新尾道、新岩国、新白河、新八代、新水俣。新幹線の「新」とつく駅は、ほとんどが、まっすぐ走らせるために新しく作られたり、それまでの駅を改名したりしたものなんだ。在来線の大きな駅は、山の中にあったり河べりにあったり、あとは、もう住宅地とかで占められていて線路を敷けなかったり、そういう理由で避けられてしまったんだな。
真美:なんか、さみしーね。
亜美:昔の人がいっぱいがんばって、大きな駅ができる街にしたのにね。
犬 :ま、新幹線の駅ができたくらいじゃ、街が総出で引っ越しするわけでもなし、昔の人達の営みはそのまま残るけどな。…と言っているうちに、新青森駅到着だ。
真美:んー。…わんわんのお話聞いても、この駅が大きくなるってピンとこないね。
犬 :まあ俺も、新白河に新幹線が通る前の事、おぼろげながら覚えてるから、真美の気持ちもなんとなくわかるかな。さて、ここ2、3年のうちに用がなければ、小さな無人駅の新青森はこれが見納めになるかも知れないぞ?
亜美:うん。

真美:はーい! ただいま7じ4ぷん、青森駅に着いたトコだよ!
亜美:これから乗るとっきゅー電車は、えと…、6番線だね?
犬 :うん。向こうの端っこだな。
真美:って、わんわん? なんではんたいの方にいくのーっ?
犬 :一度改札を出て、特急券買わなくちゃ。
亜美:い、いそがしーね、朝から。
犬 :たっぷり20分あるんだし、大丈夫だよ。…うん、これでOK。じゃ、さっそく乗って、後はゆっくりしようか。
真美:うん!
亜美:あー、もうお客さん、だいぶ乗ってるよ? どこに座るの?
犬 :向かって右の窓際ならどこでもいいよ。
真美:右じゃなきゃダメなんだね? んじゃ、ここ!
亜美:ふー。あとは走るの待つだけだね!? あ、でも…。
犬 :ん?
亜美:…わんわん、朝ご飯は?
犬 :高い駅弁か、特に変わったものがなかったコンビニ食材か、どっちかしか選べないようなものだからねえ…。だったら、競馬場まで待った方が、できたての温かいものとかあって食べ応えがあるってモンだ。
真美:そーなんだ! さすがわんわん、競馬場のコトは詳しいね?
犬 :ま、正直に言うと忘れてたんだが。
亜美:ダメじゃーん!
真美:あ、しゅっぱつするみたいだよ? トンネル、楽しみー。
犬 :まだ先だよ。青森を出てから40分くらいかかるから、何だったら寝ててもいいよ?
亜美:んじゃ、近くなったら起こしてくれるんだね?
犬 :ああ……。
真美:?
犬 :俺が寝そうな気がする。
亜美:……ワカリマシタ起きてマス。
犬 :車掌さんがアナウンスで、いろいろ教えてくれるから、よかったら聞いてるといいよ…、あふぅ。
真美:ちっとも似てないのデス。

犬 :ん、んー…。そっか、寝てる間に北海道側へ抜けてるんだな。
亜美:な、なんでわかったの? ケータイの時計とか見てないのに?
犬 :寝る前より、寒いから。
真美:…そですか。 んでも、たしかにそーだね…。
亜美:ねえねえ、メッチャ長いトンネルだったね?
真美:うんうん! 30ぷんくらいかかったよ?
犬 :そのうち、海の下を走ってるのは10分くらいなんだけどね。…もう、こっちに出て最初の駅は過ぎたのかな?
亜美:うん。もうその次の駅につくらしいよ?
犬 :だったら、そこを出るとすぐ、隣の道路のすぐ向こうに海が見えてくる。
真美:ホントに!?
犬 :んー。曇ってるからあんまり綺麗に見えないかも知れないけどね。
亜美:あ、駅だ。えっと、…キフルウチ?
犬 :キコナイだよ。木古内。白鳥の歌なんか。
真美:スミマセンなんのコトかワカリマセン。
犬 :…まあいいんだけど。さて出発。……5、4、3、2、1、
亜美:海だーっ! あ、だから、右の席じゃなきゃダメだったんだね?
犬 :そ。ここから列車は、青函トンネルのために新しく引かれた海峡線を離れて、在来の江差線に入る。函館の1つ手前までノンストップで行ってみましょ。
真美:そゆコト言うと、赤信号になっちゃうよー。
犬 :そしたら、隣のハイウェイ走っていけばいいよ。
亜美:クルマないのにー。
犬 :で、いま見えている海が津軽海峡。青森側では見えなかったよな?
真美:うん。
犬 :で、これから15分くらいしてから、かな。ずっと奥の方に山と街とが見えてくる。それが函館山と、函館の街。
亜美:これから行くトコだね?
犬 :そう。見えてくると同時に、列車は左に曲がって、函館湾岸に沿って回るように走る。だから窓からは、街と山とがだんだん近づいてくる様子が見えてるってわけだ。行く先を眺めながらの旅って、なかなかチャンスがないよ。
真美:そーだよね! なんかフシギでワクワクするね?
犬 :うん。俺も初めてだから。
亜美:え?
犬 :青森側からトンネルを抜けたのは、これで2度目なんだけど、この前は、函館に着いたのが夜中の1時13分でさ。
真美:…真っ暗じゃん。
犬 :でもね、反対に函館から離れていくのを眺めながらの旅はした事があるよ。台風一過で晴れ渡った空の下で、海も濃い青でさ、そして海も街も、傾き始めた西日を映して、いい眺めだったなあ。
亜美:うわー、メッチャきれいっぽいね!
犬 :…もっともその時は、その台風のせいで、函館駅に8時間釘付けにされた後だったんで、いつの間にか寝てたけど。
真美:…オつかれサマデシタ。
犬 :さて、そうこう言っている間に、もうすぐ9時20分、五稜郭駅に着く。そしたらあと5分で終点、函館だよ。
亜美:いよいよ亜美達北海道に立つ!
真美:そんツギは北海道破壊命令だね!
犬 :出ねーよ! ええとね、この五稜郭〜函館間は、特別な事になっててね…。
亜美:ん?
犬 :長い距離の切符を買うと、普通は途中下車って言って、切符を持ったまま改札の外へ出て、買い物とか観光とかしていいんだ。だけど、例えば青森から函館までの間、つまり津軽線〜海峡線〜江差線方面と、函館から札幌までの間、函館本線〜千歳線方面とに跨る切符の場合、函館で途中下車はできないんだ。
真美:どーして?
犬 :江差線と、函館本線と、両方とも、函館と、次の五稜郭との間を走る。だから乗り継ぐ場合、その1駅間はダブって走るんだね。
亜美:ふむふむ。
犬 :だけど、もし函館で降りるつもりがない場合、五稜郭と函館との往復は、本来乗る必要もないわけだ。なのに、主に特急の場合は函館まで行かなきゃならない。五稜郭に止まる特急はほとんどないからね。
真美:あ、…もしかしてさ、
亜美:どしたの?
真美:そゆとき、ひつよーないのに乗ってるトコのきっぷとかとっきゅー券とか、もったいないよね?
犬 :うん。でも、ちゃんとそこは考えられてて、函館で降りずに乗り継ぐ事がはっきりしている場合には、五稜郭→函館→五稜郭の分はタダって事にしてくれるんだ。
亜美:へー。しんせつだね?
犬 :逆に言うと、特急に乗って函館まで来たものの、切符の上では来ていない事になるわけで、そんな切符で途中下車はさせてもらえないって事だ。もちろん、買う時に、函館で降りるって言えば、ちゃんと運賃と料金とを計算されて、途中下車できる切符にしてもらえる。
真美:んー。わかったようなわかんないような…。
犬 :降りないで乗り継ぐと、何だかんだで1000円くらい違うと思うんだ。だからもし、この辺に用がありそうな人は、記憶に留めておくといいと思う。
亜美:わんわんのお得じょーほーでしたー。…あ、いよいよ函館駅だよ!
真美:9じ25ふん。予定通りだね?
犬 :うん。あんまり天気よくないけど、でもやっぱりワクワクするな。
亜美:カニがいっぱいだもんね!
犬 :…ごめん、俺、蟹アレルギーなんだ。
真美:……もったいないね…。



posted by 負犬山禎之丞 at 10:00| Comment(0) | 徘徊録 | 更新情報をチェックする
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