2010年03月08日

今日の問題 「金星」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。100問組み手はどこまで?
犬   :う、うう……。85問目で間違えてしまいました…。
リディア:なんてもったいない事を…。また油断したの?
犬   :今回は…僕がものを知らなかったとしか言えません。出生届を「しゅっせいとどけ」と読んでいたせいですから。
リディア:あー。法的には「しゅっしょうとどけ」だからね。でも、それを間違いとされるのは、少し厳しいと思うけれどね…。
犬   :ただ、正解字数が明示されていた問題でしたから、一呼吸置いて考えれば正解できたはずでした。
リディア:うーん。まあ、あなたが納得できるのなら、それでよしとしましょう。
犬   :その後10問目くらいに、調べてもわからなかった問題が出されましたんで、仮にあそこで正解できていたら、もっと残念なところで涙を飲む事になっていたはずだと、いい方に考えてます。
リディア:うんうん、感心しちゃうわ。今まで29問目でつかえていたのに、85問目まで頑張ったのだもの、100問連続だって遠からず達成できるわ!
犬   :はい! 頑張ります!
リディア:まあ、あなたの事だから、もう1回85問目で引っかかるのでしょうけれど。
犬   :うわあああん!
リディア:では、今日の問題はこちら。

  金星を3つ以上あげている力士。

   貴乃花光司 曙太郎
   武蔵丸光洋 若乃花勝
   寺尾常史  旭鷲山昇
   出島武春  千代大海龍二
   貴ノ浪貞博 武双山正士

犬   :横綱昇進後の曙関は、名前を正しく書けませんが察して下さい。
リディア:曙という字には「者」と書く部分があるでしょう? ここを更に分解すると「土ノ日」 この日の字の右肩に丶を打った異体字を、横綱昇進後の四股名として使っていたの。
犬   :綱取りを目指す事を「天を取る」と喩えて、大関の頃までは、それが叶うようにとの願いをこめて、点を取った字を使っていた、と。
リディア:さて、金星。1つあげるごとに、1場所ごとのお給金が4万円上がる大ボーナスだけれど、やっぱり名誉の方が大きいのかしらね。
犬   :史上最多記録は、安芸乃島勝巳関があげた16個。
リディア:2010年初場所が終わった時点での現役最多は、栃乃洋泰一関の12個。この数は高見山大五郎関と並ぶ、史上2位タイでもあるわね。
犬   :高見山関の記録は、外国人力士として最多でもあります。
リディア:でも、…外野が言う事ではないけれど、金星をたくさんあげる事は、ある意味では不名誉な事でもあるのよね。なぜなら、金星をあげられるのは平幕、前頭の力士に限られているから。
犬   :三役、つまり小結以上に昇進できなかったり、定着できなかったりして、低い番付に甘んじている期間が長かったという事の裏返しとも言えますね。
リディア:もちろん、これは穿った見方よね。前頭でも下の方では、番付上位と当たる機会がそんなにないし、前頭上位だからって、横綱に勝つのは並大抵の事ではないわ。平幕に長くいただけでは、金星を積み重ねられるものではないわよね。
犬   :1人横綱となった今、最速で安芸乃島関の記録に並ぶためには、16場所の間、横綱相手に無敗を続け、さらに平幕で居続けなくてはなりません。…まあ、後半は冗談としても、…というか前半も冗談みたいですが、そんな冗談みたいな壮挙に匹敵する記録なのかも知れません。
リディア:さて…、金星をあげる事すなわち平幕である事、だからなのか、番付上位、横綱大関にまで昇進した力士の金星が話題になる事は、意外とないわね。そこがこの問題の狙いかしら?
犬   :ええ。まあ、単に僕が気にしたから作問したようなものですけどね。
リディア:平幕が長い事すなわち金星が多い事、とはならないけれど、その逆は言えるわよね。選択肢の中では、武蔵丸関がいい例かしら。
犬   :幕内在位73場所のうち、平幕でいたのは僅かに3場所。そして文字通り、星の巡り合わせが悪かったんでしょう、平幕のうちに横綱と当たった事がないそうです。当然ながら金星はあげていません。
リディア:なお、ここでは…というより、一般的にそうするようだけれど、幕内在位期間には、全休した場所も数えているわ。
犬   :記憶に新しいところでは、千代大海関のキャリアも似たものでしょう。幕内75場所のうち、65場所にわたって大関を務め、昇進前に小結、関脇でいたのも合わせて5場所。平幕にいたのは4場所だけでした。
リディア:その間にあげた金星は、1998年春場所初日、貴乃花関を破ってのもの1つだけね。
犬   :その貴乃花関も、幕内75場所のうち平幕は8場所。…案外長かったと思ったら失礼でしょうか。金星は91年夏場所初日、千代の富士貢関からあげたものだけでした。
リディア:ちなみにこの時18歳9ヶ月。金星の史上最年少記録なのね。
犬   :お兄ちゃんこと若乃花関は、幕内58場所中、平幕は13場所。…短いといえるかどうか微妙な期間ですが…、金星は91年秋場所2日目、および92年初場所3日目、共に旭富士正也関からあげた2つです。
リディア:とりあえずもう1人、武双山関は、幕内在位68場所のうち、平幕は10場所。金星は94年初場所4日目の曙戦、95年夏場所13日目の貴乃花戦であげた2つだったわね。
犬   :まずこの5人が、不正解となる選択肢です。そしてもう1人、貴ノ浪関も金星は2つだけで不正解なんですが、この方はちょっと異色のクチなんです。
リディア:初入幕から三役昇進までは9場所。でも、幕内76場所のうち、平幕でいた期間は、合わせると27場所になるのよ。
犬   :上背があるだけに、脚の悪さが最後まで響いたそうですね。そのうえ、勝ちにいく取り口よりも、自分でなければできない取り口を好むタイプだったそうです。
リディア:勝ち相撲での決まり手が30種も記録されているの。「技のデパートモンゴル支店」と呼ばれた旭鷲山関の46種には遠いけど、本店と呼ばれた舞の海秀平関は34種。これには匹敵すると言えそうね。
犬   :ただ舞の海関は、2001年初場所に決まり手の数が増えるまでに引退していますから、単純には比べられないのかも知れません。
リディア:さて、そんな取り口を好んだ貴ノ浪関は、勝つ時は豪快だけれど、格下相手にコロッと負ける事もしばしば。大関まで昇った力士がだらしない、などと批判されながら平幕で3年。同部屋の貴乃花関みたいにストイックな人だったり、逆に若乃花関ほど…、淡泊過ぎる人だったりしたら、続けていられなかったでしょうね。
犬   :初の金星は、2002年九州場所5日目、もう1つは翌03年名古屋場所4日目、いずれも武蔵丸関からあげました。この九州場所は、入幕してから実に67場所目で、おそらく、初入幕から数えれば、もっとも遅い初金星ではないでしょうか。
リディア:似たケースには、入幕以来49場所目で初金星をあげた、雅山哲士関がいるわ。
犬   :また、貴ノ浪関の場合は、横綱に同部屋力士が多く、本割では横綱と当たる機会が少なかった事にも注意を払わなければならないでしょう。
リディア:史上初の幕尻優勝を飾った貴闘力忠茂関は金星9つ。この人や、記録保持者の安芸乃島関も、若貴兄弟と同部屋でなかったら、もっと数を増やしていたかも知れないわね。
犬   :なお貴ノ浪関は幕内優勝を2回飾っていますが、どちらも優勝決定戦で貴乃花関を下してのものでした。…96年初場所、初優勝の取り組みはこの動画の4分20秒目あたりにあります。
リディア:時間のある方はぜひ見て欲しいわね、これは。いかにも貴ノ浪関らしい決まり手で初優勝を呼び込んだわ。
犬   :時間のない方のために、伏せ字で決まり手を書いておきます。「河津掛け
リディア:さて、と。選択肢にあげた中で、残る4人は正解という事ね。
犬   :まずは、スピード出世を遂げながらも金星を稼いだ力士の代表格、曙関でしょうか。
リディア:幕内63場所のうち、平幕は5場所。この間に、91年初場所2日目の旭富士正也関、同年名古屋場所初日に大乃国康関、同場所5日目に旭富士関、同年九州場所6日目に北勝海信芳関と、4つも金星をあげているわ。
犬   :昔の事はチェックしていませんが、平成以後に横綱を務めた力士としては最多ですね。
リディア:大関経験者の出島関も出世は早く、4場所で初めての三役昇進を果たしているのよね。97年秋場所3日目の貴乃花戦、9日目の曙戦で早くも金星2つをあげているわ。
犬   :しかし2場所続けて休場の憂き目を見て平幕降格。98年夏場所の6日目に若乃花関、10日目に曙関から、これまた1場所2つの金星をあげました。
リディア:休場明け2場所で三役に再昇進を果たし、初入幕から15場所で初優勝を飾って、大関昇進も決めたのね。
犬   :ところが、成績が安定しなくなって、ついには三たび平幕へ落ちてしまいます。
リディア:03年初場所の7日目に貴乃花関から金星獲得。この後で3回目の三役昇進も果たしたのだけれど、やっぱり勝ち越せない場所が続いて、またしても三役から陥落してしまうの。
犬   :それから28場所にもわたって平幕で取り続け、その間、07年初場所3日目に、朝青龍明徳関から、6つめの金星をあげました。初金星から9年半を過ぎて金星をあげた例も、そうそうないかと思います。
リディア:上には上がいるものだけれどね。なお出島関は、平幕を28場所続けて引退したのではなく、なんと4回目の三役昇進を果たしたのよ。
犬   :大関陥落から数えると39場所目での事、6年半も経ってからでしたね。正直なところ、強い力士という印象はなかったのですが、記録を紐解けば、幕内74場所のうち平幕は50場所。幕内在位中、3分の1は三役を務めたのですから、名関取と言えるでしょう。
リディア:さて、残った2人は、平幕期間が長かった力士達ね。
犬   :旭鷲山関は、幕内在位62場所のうち、1場所小結を務めただけで、あとは平幕に留まりました。まあ、体格的にどうしても不利でしたからね。ただし、その1場所というのが、初入幕から数えて4場所目でした。そんな事もあって、この人の金星もすべて、三役を経験した後にあげたものです。
リディア:その数は5つ。97年夏場所初日の曙戦、99年春場所4日目の若乃花戦、00年春場所3日目の貴乃花戦、02年初場所3日目の武蔵丸戦、03年夏場所9日目の朝青龍戦であげているわね。
犬   :なお、03年名古屋場所5日目で、朝青龍関に反則勝ちを収めていますが、不戦勝と反則勝ちとは、金星と数えられない事になっています。
リディア:旭鷲山関には、不名誉なジンクスめいたものがあったの。金星をあげた場所では負け越してしまう事が多かったのよね。特に97年夏場所では、初日に金星をあげた後に7連敗、9日目に白星をあげて、また6連敗。この場所は2勝13敗に終わってしまったのよね。
犬   :唯一勝ち越せたのが、03年夏場所。まあ、5分の4では、ジンクスと呼ぶには足りないかも知れませんけどね。
リディア:最後に、つっぱり大相撲の寺尾関。幕内在位93場所、うち平幕は80場所ね。
犬   :金星は7つあげています。88年初場所2日目に大乃国関、89年初場所8日目に千代の富士関、同年名古屋場所4日目に大乃国関、91年初場所7日目に大乃国関、同年九州場所3日目に北勝海関、95年春場所7日目に貴乃花関、そして99年九州場所9日目に武蔵丸関からですね。
リディア:このうち、千代の富士関からあげた金星は、平成に入って2番目のものね。平成の初金星は、4日目に琴ヶ梅剛史関が大乃国関からあげたものよ。
犬   :では、改めて正解を発表します。曙太郎、寺尾常史、旭鷲山昇、出島武春。以上4人でした。
リディア:さてと、みなさん興味があるかも知れないし、現役力士の金星数を、横綱大関陣だけでも見ておこうかしら?
犬   :では、2010年初場所終了時点で。白鵬翔関は、04年九州場所11日目に朝青龍関からあげた1つです。平幕期間は4場所でした。
リディア:日馬富士公平関は、06年初場所13日目に朝青龍関から1つ。平幕は13場所。
犬   :琴欧洲勝紀関は平幕5場所。この間に朝青龍関と3回対戦していますが、全て敗れています。金星はありません。
リディア:魁皇博之関の金星は6つ。94年初場所8日目の曙戦、97年春場所7日目の貴乃花戦、同場所9日目の曙戦、98年秋場所3日目の貴乃花戦、同年九州場所2日目の貴乃花戦、翌3日目の若乃花戦。平幕には合わせて10場所いたのね。
犬   :琴光喜啓司関は、00年九州場所11日目、01年春場所7日目、同年秋場所4日目と、いずれも武蔵丸関からあげた3つですね。…この人もまあ、記録で見ると凄い人ですよねえ。
リディア:初入幕の場所を、全休で棒に振った事からして滅多にないわよね。休場明け、事実上の初入幕場所で早くも金星をあげた上、惜しくも優勝を逃したと言うべき好成績を残し、3勝を独占したのよね。
犬   :休場も含め、平幕7場所の間に3つの金星を獲得。また7場所目には初優勝を飾りました。その後の事は気にしてはいけません!
リディア:そして、残念ながら引退してしまった朝青龍明徳関。01年秋場所6日目に、武蔵丸関からあげたもの1つね。ちなみに平幕にいたのは3場所。だけどこの人も、入幕して2場所で小結に昇進してから、いったん陥落しているのね。
犬   :引退会見で「誇りに思う」と言っていたのは、小結2場所目の01年夏場所初日に武蔵丸関を倒した時の事です。その場所で負け越して、前頭筆頭に番付を下げて迎えた秋場所で金星をあげました。
リディア:…それでは、金星を取った話はここまで。今日はお終いに、金星を取られた方の記録をいくつか紹介しましょう。
犬   :もっとも多いのは、53個を与えた北の湖敏満関です。とはいえ横綱在位63場所と、断然の長さを誇ってもいますから、数が多いのも仕方ないでしょうか。
リディア:39個を与えた2位の人は2人、在位47場所の輪島大士関と、49場所の貴乃花関ね。
犬   :4位は35個で、これも2人ですね。大横綱の1人、在位47場所の柏戸剛関と、48場所の曙関です。
リディア:以上がワースト5。次は、1場所のうちにたくさんあげちゃった記録よ?
犬   :これは01年秋場所の武蔵丸関でした。4日目に琴光喜関、6日目に朝青龍関、7日目に海鵬涼至関、9日目に玉春日良二関、11日目に栃乃洋関、と5つ与えています。
リディア:最後は、1人の力士にいっぱいあげちゃった記録。
犬   :これは2人います。高見山関に7つ与えた輪島関と、貴闘力関に7つ与えた曙関です。
リディア:では、今日はここまでです。
犬   :なお、この記事を書くにあたって『相撲レファレンス』というサイトを大いに参照しました。
リディア:もの凄いデータ量を誇るサイトですってね?
犬   :ええ。最初に紹介してしまうと、この記事が用無しになりそうで、今まで黙ってたくらいですよ!
リディア:うーん…、最後になってから見てみても、この記事いらないと思うわ…。



posted by 負犬山禎之丞 at 20:46| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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