2010年02月24日

今日の問題 「大河の主役」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。100問組み手はどこまで進んだのかしら?
犬   :それが、29問目を間違えてしまったんです。
リディア:…ボケを繰り返すのはお約束だとしても、なにもこんな大事なところでしなくたって。
犬   :違うんです! やっぱり腑に落ちないんですよ。バンクーバーオリンピックの開会式当日と閉会式当日とで、行われる競技が少ないのはどっちか、と問われたんですけど…。
リディア:あー、もしかしてあなた、最終日は女子マラソンだけとか考えたでしょう?
犬   :……あーっ!! 今回は冬季オリンピックでした!!
リディア:そもそも、夏季オリンピックってそうだったかしら? 世界陸上のクライマックスは女子マラソンだけれど…。だいたいそれだって、中継がないだけで、他の競技も行われているのだし。…勘や思い込みで手を出していい問題ではなかったと思うわ。
犬   :具体的に知らないなら、避けなきゃいけませんでしたね…。うう、また一からだ…。
リディア:よしよし。元気出しなさい。
犬   :はい! では元気と一緒に、今日のクイズを出します!

  NHK大河ドラマで主人公として描かれた人物。
   北政所ねね 高杉晋作
   平将門   井伊直弼
   藤原道長  北条政子
   平清盛   真田幸村
   斎藤道三  紀伊国屋文左衛門

リディア:ネットで探せば、歴代作品一覧などもすぐ見つかるでしょうから、調べれば簡単な問題よね。
犬   :一方、勘だけで答えようとすると、なかなか迷わされるかも知れません。今年の『龍馬伝』でも、副主人公ではありますが岩崎弥太郎にスポットを当てていますように、時代の中心にいたとは言い難い人物を主役とした作品も多いんですよね。
リディア:違う意味で、まさかこの人物を主役に? と思わずにいられない作品もあるわね。代表的と言えそうなのが、1963年、記念すべき最初のタイトル『花の生涯』 主人公は井伊直弼。
犬   :ちょうど『龍馬伝』をご覧になっていると、その思いが強いんじゃないでしょうか。幕末ものは、どうしても龍馬や西郷隆盛など志士達の視点で描かれる事が多くなります。そうなると井伊大老は、悪役の筆頭扱いされがちですからね。
リディア:半世紀前はそうでもなかった…とも思えないわね。この人を主役にして、1年通しのシリーズを制作、放送するなんて、とても意欲的な試みだったと思うの。
犬   :放送当時、フィルムはとても高価なものであり、また今のように、後になって映像作品が省みられる事など考えられなかった事もあり、放送を終えたフィルムには別の作品を上書きして使い回すのが当たり前でした。ですから『花の生涯』も、完全に残っているのは第1話だけ、あとは最終回の一部が今に伝わるだけだそうです。
リディア:この作品だけに限らず、初期の大河ドラマはほとんどが残っていないそうね。だから、CSも含めて再放送される事もなく、ソフト化もされていない作品がたくさん。
犬   :NHKアーカイブスに収められた大河ドラマは、視聴者からの寄贈に助けられた作品、回がかなりの数にのぼるそうですね。
リディア:でも、記念すべき初タイトルの第1回だけは残されたところに、当時のスタッフ達がこの企画に込めた、5年10年と続くテレビ史上に残るシリーズにするんだという意気込みを感じるわね。
犬   :と言うわけで、まず1つ、井伊直弼が正解でした。…さて、この後をどう解説していきましょうかね…。
リディア:正解を見て行くだけだと味気ないわね。いっそ全作品を放送順に追うのも面白いかも知れないけれど、またダラダラしそうだし、一つ一つに解説を添えられるほど詳しくもないし…。私達なりにカテゴリ分けするのはどうかしら?
犬   :なるほど。それなりにメリハリをつけられそうですし、試してみる価値はありそうですね。
リディア:では…、まずは第1作に敬意を表して、幕末ものから。

1963 『花の生涯』    井伊直弼
1967 『三姉妹』    (青江金五郎・むら・るい・雪)
1968 『竜馬がゆく』   坂本竜馬
1974 『勝海舟』     勝海舟
1977 『花神』      大村益次郎
1980 『獅子の時代』  (平沼銑次・苅谷嘉顕)
1990 『翔ぶが如く』   西郷隆盛
1998 『徳川慶喜』    徳川慶喜
2004 『新選組!』    近藤勇
2008 『篤姫』      篤姫
2010 『龍馬伝』     坂本龍馬

犬   :意外と幕府側の人物が主役に選ばれてますね。
リディア:幕末ものは視聴率が取れない、なんて言われ方もしたのは、他の時代と比べると、よく認知されているのが災いして、滅多なものでは満足されないからではないかしら。
犬   :直近でこそ1年しか空いていませんが、『獅子の時代』から『飛ぶが如く』まで9年、それから『徳川慶喜』までも7年空いているのも、避けられていた証左ですね。
リディア:だからこそ、主役選びからして、ある意味で意外性を求めていたのだと思うわ。時代の中心の中心にいたと言える龍馬を主役としたドラマなんか、月並みな考えをしたら扱い易そうなのに、49作のうちでやっと2回目だものね。
犬   :新撰組中心のものが1作しかないのもビックリです。…演出で意外性を出そうとして失敗した印象が強くてアレですが…。
リディア:なお『三姉妹』『獅子の時代』の主役がカッコで囲われている事は、後であらためて説明するわ。
犬   :さて、選択肢の中で幕末の人物は、井伊直弼の他には高杉晋作だけでした。長州藩の志士達を描いた『花神』(カシン)には、高杉も登場しますが、あくまで主役は、明治政府で軍の基礎を固めた大村益次郎でした。
リディア:というわけで、ここまでのところでは、正解は井伊直弼だけね。
犬   :続いて紹介しますのは、忠臣蔵ものです。
リディア:ついでと言ってはおかしいけれど、近い時代を描いたものが1つだけだから、ここで紹介してしまうわね。

1964 『赤穂浪士』    大石内蔵助
1975 『元禄太平記』   柳沢吉保
1982 『峠の群像』    大石内蔵助
1999 『元禄繚乱』    大石内蔵助

1995 『八代将軍吉宗』  徳川吉宗

リディア:さすが時代物の代表格ね。忠臣蔵だけで4作品。
犬   :『八代将軍吉宗』では、語り部の役を務めたのが近松門左衛門でした。『仮名手本忠臣蔵』制作の中心にいた竹田出雲は、近松に戯曲執筆を師事したそうです。
リディア:ちょっと余談を挟むけれど、この『仮名』はひらがなカタカナの事ではないのよ? 四十七士は幕府の沙汰に反抗した謀反人達だから、大っぴらに美談の主役にはできなかったわけ。だから登場人物すべてを違う名前、言い換えると仮の名前にした上、足利時代初期の出来事だとしたの。
犬   :大星由良之介、でしたっけ。…仮名だと明言したり、題名に内蔵助から1字を採ったりして、バレバレだったとは思いますけど。
リディア:さて、大河ドラマで最初に忠臣蔵を扱ったのは、『花の生涯』の翌年ね。
犬   :最初の作品が、言わば異色作だったので、2つ目には正統派を持ってきた、と言ったところでしょうか。…まあ、半世紀前には井伊直弼の視点で語る事が異色と見られたのかどうか、あまり自信がありませんが。
リディア:でも、忠臣蔵に題材を採っても、決して一様な描き方はしなかったわね。2つ目の『元禄太平記』は、将軍綱吉の側用人、柳沢吉保の目を借りて、やや幕府寄りの視点で赤穂騒動を見たもの。3つ目『峠の群像』は、また正調とでも呼ぶべき大石視点ね。
犬   :伊丹十三演ずる吉良上野介が、もの凄く嫌な人だったのを覚えてます。
リディア:今のところ最後の忠臣蔵もの『元禄繚乱』は、吉良が悪役にならないように注意して書かれた作品とされているわね。『元禄太平記』『元禄繚乱』共に、南條範夫さんや船橋聖一さんが独自視点で書いた原作あってこその、異色忠臣蔵ね。
犬   :さて…、選択肢の中では、だいたいこの時代に生きた人は紀伊国屋文左衛門だけです。この人は、大河のみならずドラマの主人公になった事はないんじゃないかと。
リディア:伝記が詳しく残っていないそうね。逸話はそれなりにあるけれど、誇張が酷いとか、事実と確認できないとかで、…だからこそドラマ向き、と言えなくもない気はするけれどね。
犬   :紀文主役の小説は、いくつかあったと思います。
リディア:紀文さんは採りあげられていないけれど、商人を主役とした大河ドラマは1つあるわ。1978年の『黄金の日日』で、桃山時代の大商人、納屋助左衛門を市川染五郎、今の松本幸四郎さんが熱演しているわ。
犬   :では今度は、桃山時代や江戸開府直後までを含めた、戦国ものを一挙ご紹介。

1965 『太閤記』     豊臣秀吉
1969 『天と地と』    上杉謙信
1970 『樅の木は残った』 原田甲斐
1971 『春の坂道』    柳生宗矩
1973 『国盗り物語』   斉藤道三・織田信長
1978 『黄金の日日』   納屋助左衛門
1981 『おんな太閤記』  ねね・豊臣秀吉
1983 『徳川家康』    徳川家康
1987 『独眼竜政宗』   伊達政宗
1988 『武田信玄』    武田信玄
1989 『春日局』     春日局
1992 『信長』      織田信長
1993.1-6 『琉球の風』 啓泰
1994.4-12 『花の乱』  日野富子
1996 『秀吉』      豊臣秀吉
1997 『毛利元就』    毛利元就
2000 『葵 徳川三代』  徳川家康
2002 『利家とまつ』   まつ・前田利家
2003 『武蔵 MUSASHI』  宮本武蔵
2006 『功名が辻』    千代・山内一豊
2007 『風林火山』    山本勘助
2009 『天地人』     直江兼続

犬   :『樅の木は残った』『春日局』は若干時代が下りますが、ここに入れました。
リディア:その『樅の木は残った』は、17世紀後半に起こった伊達騒動を採りあげたもの。山本周五郎さんの同名小説を元にしているわ。
犬   :つい先日にも、民放でドラマ化されたようですので、ご覧になった方もいらっしゃるかも知れません。僕は放送が終わってから知りましたが。
リディア:駄目じゃない…。
犬   :主人公の原田甲斐は、うーん…、藩主の親族と手を組んで、命を受けて動く立場ですから、今風に言うと部課長クラスの人物でしょうか。
リディア:その後に主人公とされたのが、柳生宗矩や斎藤道三。二人とも、知名度では原田甲斐を遙かに凌いでいるけれど、秀吉や謙信と比べたら、どうかしら。
犬   :時代小説ならまだしも、テレビドラマの主役としては、異色の部類と言えるんじゃないでしょうか。ここに納屋助左右衛門を入れた4人と、その後の10年ほどの間に主役にされた大大名達とを比べて頂けば、異色さが、とまで言えなくても、何かが決定的に違うのはおわかりでしょう。
リディア:主役選びに限っては、それまでの多くとは一転して無難になって見えるわね。…後半では、他のところで冒険しすぎたような気もするけれど…。
犬   :それもそうですね。でも緒形直人さんの信長も、4月頃には気にならなくなりましたけどね。
リディア:四半世紀前に、通算3作目で秀吉を演じたのが、お父さんの緒方拳さん。これもその頃としては大抜擢だったのかも知れないわね。
犬   :それまでに主役を演じたのが、梨園の看板役者だった尾上松緑さんと、若いとはいえ、すでに押しも押されもしない時代の寵児だった長谷川一夫さんでしたからね。
リディア:では、選択肢を洗いましょう。
犬   :この時代の人物は、北政所ねね、真田幸村、斎藤道三。幸村だけがハズレですね。意外な事でした。
リディア:通年ドラマの主人公にするには、伝記に不分明なところが多すぎるからでしょうね。でも、架空の人物とする説もある山本勘助が主役にされたくらいだから、これから可能性はあるけれどね。
犬   :続いては、戦国以前の時代を扱ったものをご紹介します。
リディア:源平時代の作品が、やっぱり多いわね。

1966 『源義経』     源義経
1972 『新・平家物語』  平清盛
1976 『風と雲と虹と』  平将門
1979 『草燃える』    北条政子・源頼朝
1991 『太平記』     足利尊氏
1993.7-94.3 『炎立つ』 藤原経清・秀衡・泰衡
2001 『北条時宗』    北条時宗
2005 『義経』      源義経

リディア:綺麗に80年代が抜けているわね。
犬   :源平ものに限れば四半世紀も抜けてますよ。これまた意外でした。
リディア:でも、理由はわからないでもないのよね。小説を書くなら困らない事だけれど、戦国以前の事は…まあ戦国時代の事も怪しいところが多いけれど、時代考証の細かなところが、はっきりしないらしいの。
犬   :特に家具調度品など、普段の暮らしに関わる物事についてですよね。今には伝わっていない文物や、いつ頃からあったのか定かではないものがたくさんあります。お公家さんや武家などでしたら、まだ日記が残されていますから、類推もできますけど。
リディア:それだって、儀式や遊興の様子はそれなりに記録があるけれど、普段の事、身の回りの品となると資料に乏しいのよね。中途半端に映像化しようものなら、ずいぶんと殺風景な画になってしまうか、考証面でツッコミを受けるものになってしまうか…。
犬   :儀式や遊興で思い出しましたけど、戦記物はともかく、貴族社会を題材にしたドラマを作ろうなんて事は、別の点でも無理難題だそうです。
リディア:例えば『源氏物語』に見られる衣装や日用品を、まあそれなりに再現しようとすると、お姫様1人の部屋を用意するだけで、数千万から億のお金が要るらしいの。
犬   :フルCGにでもすれば話は別でしょうが…、それをテレビドラマと言っていいものかどうか…。
リディア:でも、同じNHKが、聖徳太子を主役に据えた仏教伝来記を、3話構成くらいでドラマ化した例もあるし、短い作品ならば、工夫次第でいいものも作れるようね。
犬   :さて、選択肢の中で、この時代の人物は、平将門、藤原道長、北条政子、平清盛。ここでも関白道長だけがハズレですね。
リディア:法成寺殿はねえ…、果たしてドラマの主役にできるかしらねえ…。
犬   :この人も、あまり好印象を持たれていませんからねえ…。
リディア:…なんて感じで、思考停止されがちな人を、初期の大河ドラマでは見事に主役としてきたのよね。思えば太閤秀吉だって、晩年は道を誤った感が強いけど、主役2回、副主役にも1回なっているのだし。
犬   :人物評がまるっきり変わる可能性もありますしね。読んだ事はありませんが、昭和初期頃に、織田信長は本当に逆臣と呼ばれるべきなのか、という論点で書かれた本があったようです。
リディア:…それまでは、逆臣扱いもされていたという事よね。
犬   :ところで…、少しは大河ドラマの事にも触れないとアレですけど…。
リディア:ああ、そうだ。『草燃える』で、源頼家役として郷ひろみさんが起用されたのも、当時は色々と言われたのではないかしら。
犬   :いざ蓋を開けてみれば、主役を喰いかねない迫真の演技を見せたそうですね。これは見て見たいなあ…。
リディア:では、最後に近・現代ものを紹介するわ。

1984 『山河燃ゆ』   (天羽賢治)
1985 『春の波濤』    川上音二郎
1986 『いのち』    (高原未希)

犬   :もっとあったような気がしてましたが、数ばかりか放送年代も限られていたんですね。
リディア:これ以前の数年では、ねねと秀吉、大石内蔵助、家康とメジャーどころを扱い、そしてこの3年。大河ドラマが方向転換を模索していたようにも見えるわね。
犬   :ちなみに原作または脚本が、それぞれ山崎豊子さん、杉本苑子さん、橋田壽賀子さんと、有力女性作家で揃えられているという共通点もあります。
リディア:さて…、扱われた時代による区分はここまでの通りだけれど、違った括り方ができる作品も少なくないのよね。1つ目の括りは、言うなれば女性ものかしら。
犬   :北条政子の『草燃える』 北政所ねねの『おんな太閤記』 日野富子の『花の乱』 それから『いのち』『春日局』『利家とまつ』『功名が辻』『篤姫』 あと、後述する『三姉妹』もここに入るでしょう。
リディア:来年には『江』が増えるわね。
犬   :ほとんどをろくに見ていませんので、僕には大したコメントができなくてアレですが。
リディア:駄目ねえ。
犬   :佐久間良子さん演じる北政所ねねが、一瞬だけ上半身裸になったのにはビックリしました。
リディア:そこは見なくていいから。…まあ、日曜のゴールデンで、あれは驚きだったわ。いくら横向きとはいえ。
犬   :『戦国無双2』のおねね様は、いつでも横からお尻丸出しですけどね。
リディア:お猿さんとお尻さんが天下を取るのね。
犬   :2人仲良く、おしり夫婦ってヤツですね。
リディア:うまい事を言い返されたわ!
犬   :さて、もう1つの括りは、これまで主人公名をカッコで括って紹介した、架空主人公ものとでも呼びましょうか。
リディア:これには『三姉妹』『獅子の時代』そして現代物の『山河燃ゆ』『いのち』の4作品が当たるわね。
犬   :『三姉妹』の主役は青江金五郎。ですが彼は、語り部的な役割を与えられていたそうでして、ほとんど登場しなかった回もあるそうです。
リディア:ドラマの中心に立つのは、とある旗本の娘達、むら、るい、雪の3人で、幕末から維新後に、大きく立場を変えられて、翻弄される三姉妹を通して時代を描きあげた作品ね。
犬   :るいさんと雪ちゃんが姉妹だったなんてピュア紳士的には驚き桃の木!
リディア:はいはい。
犬   :むらさんの夫が釘宮伊織なんて下僕的には以下同文!
リディア:はいはい。あと、若き日のマスターアジアさんが出演しているわね。
犬   :『獅子の時代』は、会津の人、平沼銑次と、薩摩の人、苅谷嘉顕とを正副主役として、これも幕末から維新後までの時代を描いた作品ですね。山田太一さんが脚本を書いた、大河ドラマ初の完全オリジナル作品だそうです。
リディア:両主人公が敵味方の立場にあり、やがて敗者と勝者とに分かれてしまう事、特に敗者の視点で時代を見ようとしたところが、大きな特徴よね。
犬   :『山河燃ゆ』は、アメリカ生まれの日系2世4人兄妹と両親を中心に、太平洋戦争の激動を生きた日系人達を描いた物語でした。
リディア:特に主人公格とされたのが、長男の天羽賢治と、次兄の忠とだったわね。
犬   :忠は青年期から、日本寄りの考え方をしていまして、日米開戦前に渡日して、そのまま日本で従軍しました。逆に…名前は忘れましたが三男は、忠や父と対立しても、自分はアメリカ人だと意識していて、米兵として欧州戦線へ出征しました。
リディア:賢治はというと、基本的にはアメリカ人だと思っていたけれど、弟のように日本は敵だとも割り切れずにいたのね。
犬   :天羽家の6人は、戦地なり強制収容所なりで、全員無事に終戦を迎えます。戦後、忠は実業家として日本で成功し、三男は父の家業を継ぎました。賢治だけが、様々な葛藤の末にピストルで頭を打ち抜いて果てます。このシーンまでの物語でした。
リディア:死に際の表情は忘れられないわあ。
犬   :僕もそうです。大河ドラマをきちんと見てたのはこの作品が最後だったんで、なおさらですね。
リディア:架空主人公ものの最後は『いのち』 これは大河ドラマ唯一の、戦後だけを描いた物語なのよね。高原未希という女医と、彼女を巡る人達の人間模様が中心で、他の作品と比べると、少しだけ時代性が薄かったかしら。
犬   :脚本を担当した橋田壽賀子さん自身の戦後観に沿っているそうですので、時代が人々に及ぼした影響というものを、少しくらい薄めて書かないと、独りでに色濃く出てしまう懸念があったからかも知れません。
リディア:肝心の日本では、そこが仇になってあまり喜ばれなかったようだけれど、海外で放送された大河ドラマの中では、かなり高い人気を博したらしいの。
犬   :不思議なものですね。
リディア:時代についての予備知識がなくても、ドラマを見るのには差し支えなかったからかしらね。……では、今日はここまで。



posted by 負犬山禎之丞 at 18:32| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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