2009年12月13日

今日の問題 「英語版」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。しばらくねえ。
犬   :すみません。だいぶ怠けてしまいました…。
リディア:気に病む事はないわ。だって、晴れてウソつき超人になるまでは私の前に現れないという決意があっての事なのだから。
犬   :違いますよ!
リディア:と言うより、こんなに間を空けたのだもの、まだとは言わないわよね?
犬   :……1度だけタイトルマッチを迎えたんですが、その試合からまさかの5連続4位を喫してしまって…。
リディア:わざとね!? わざと負けているのね!?
犬   :どうしてそんな事をしなきゃいけないんですかっ!?
リディア:そうまでして、自分がウソつきである事を世間に対して隠し通そうとするなんて、先生あなたの事を見損なったわ!
犬   :人の話を聞いて下さいっ!
リディア:これはもう、真性のウソつきと呼ばざるを得ないわね…。
犬   :お願いですからやめて下さい!
リディア:ユー・アー・ライアー!
犬   :英語で言っても駄目です! …もう、今日のクイズ始めますよ…?
リディア:レッツ・トライ・トゥデイズ・クエスチョン。
犬   :だーかーらー!

  アメリカ向けに翻訳された漫画のタイトルとして正しいもの。
   SGT.KERORO
   You are my pet
   A MAGIC TEACHER NEGIMA!
   Annoyous Starcomers
   boys over flowers
   Knights of the Zodiac
   as Hayate!
   The little great detective Conan
   Ultimate Weapon Steady
   YOTSUBA&!

リディア:正しいかどうかより先に、そもそもどの漫画なのかを当てなくてはならなそうなのも、いくつかあるわね。
犬   :原題が、日本語で読むからこそしっくりくる類のものですと、違う言葉に訳すのも一苦労でしょうね。『うる星やつら』とか『花より男子』とか。
リディア:あーあ、言っちゃった。
犬   :別に、そこは今日のテーマじゃありませんから。
リディア:しかも、さすがウソつきね?
犬   :……なんの事でしょう?
リディア:それはいいとして、ここで一つお断りしておくと、今回はメインタイトルだけに注目したの。
犬   :つまり、メインの後ろにカッコ書きで付された邦題ですとか、メイン、巻番に続けて書かれた、ちょっとした内容の説明のような部分ですとか、そういったものは省いたという事ですね。
リディア:それでは、一つ一つ見ていきましょう?
犬   :はい。まずは"SGT.KERORO"ですね。
リディア:あらためて邦題を確認するまでもないわね? SGT.はsergeant、つまり軍曹。
犬   :という事で問題なさそうに見えますが…、出版元のサイトで見本として載せている表紙絵がこれです。…なるべく、どうしてこうなったのか、説明も推察すらもできないのは、選択肢に入れないつもりだったんですが…。
リディア:誰もがすぐ思い浮かべられるくらいに有名な作品を入れる、となると、興味深い訳題がつけられたものって、なかなかないのよねえ。
犬   :キャラクターの名前を向こう風に変えてしまう事もある割に、題名はそのまんま、という例がほとんどなんです、今は。
リディア:邦題そのものが英語であったり、訳しようがない題がつけられていたりして、仕方ない例もいっぱいあるけれどね。
犬   :後者の例としては、例えば" Sumomomo, Momomo"とかでしょうか。
リディア:調べてみると、開いた口が塞がらないくらいにそのままなものもあったわね。
犬   :"Kamichama Karin Chu♥"って…。
リディア:まあ、それはさておき、『ケロロ軍曹』の訳題は"SGT.FROG"でした。と言うわけでこれはハズレ。
犬   :次は、"You are my pet"です。
リディア:これも原題は言うまでもないでしょうね。
犬   :さて、こちらの表紙はこれなんです。
リディア:これはまた、大きく変わっているわね。すっかり原形を留めていないわね。
犬   :あくまで想像ですが、そのまま表紙に載せちゃうと、人権云々でツッこまれる懸念があるためかも知れません。
リディア:真相には届けないからさておくとして、正しい英題は"Tramps Like Us"ね。
犬   :Tramp とは、まあ、ホームレスの意です。ではLike Us とはどういう謂いか、となりますと…、ホームレスなのは、段ボールに捨てられていた男性の立場ではなく、拠り所を得られずに彷徨う登場人物達の精神状況…と見せかけて、実は彷徨っているのは、僕達読者だろう? といったところのような気がします。
リディア:Tramps、と複数形になっているのも、男性1人ではなく、作中人物全体を指しているから、と言いたいのね? まあ、あり得る解釈かしら。
犬   :原作すら読んでいませんので何とも言えませんが。
リディア:…駄目だわこの人……。
犬   :さて次は、"A MAGIC TEACHER NEGIMA!"です。
リディア:これはアウトよね? だってこれじゃ「手品の先生」だもの。
犬   :最初はマジカルティーチャーとするつもりでしたが、1つぐらいは、嘘と見抜く手がかりを残しておくべきかと思って、変えました。
リディア:さすが隠れ超人! 嘘をつくにも気配りを行き届かせるのね!
犬   :いわゆる「優しい嘘」って奴です!
リディア:お馬鹿さん。
犬   :表紙絵はこれです。主タイトル"Negima!"の後に巻番が付され、その後にサブタイトルが続く形になってますね。
リディア:サブタイトル"Magister Negi Magi"は、原作でネギ先生に与えられた称号ね。
犬   :続いては"Annoyous Starcomers"です。
リディア:annoyousは、煩わしいとか、うるさいとかいう意味よね。…Starcomers。…星。
犬   :というわけで表紙はこれです。
リディア:……まったく違うわね……。
犬   :どうしてこうなったんでしょうね……。
リディア:とにかく、正しい英題は"The Return of Lum"だっちゃ。
犬   :申し訳程度に口調を真似なくても……。
リディア:さて次のタイトルは、"boys over flowers"ね。
犬   :原題のニュアンスを踏まえているような、いないような…。
リディア:うーん…。「男子は花より上に」?
犬   :まあ、えてしてこんな感じのものこそ正解だったりします。
リディア:つまり反対に、頷けるところが少しでもあるものは、あなたがでっち上げたものだという事なのね?
犬   :どうせ僕は嘘ついてナンボの人ですからね! …さて、表紙絵はこれです。
リディア:次は、"Knights of the Zodiac" 直訳すれば、黄道十二宮の騎士、かしら。
犬   :クロスを着用して小宇宙を燃やす少年達の物語ですね。表紙絵はこれです。
リディア:次は、"as Hayate!" …ねえ、いくらなんでも直球すぎないかしら?
犬   :どうして僕が捻り出したものだって決めつけてるんですか! その通りですけど。
リディア:表紙絵はこれね。
犬   :身長57メートルみたいですね。
リディア:バットが1つ欠けてるわよ?
犬   :とかなんとかで、正しい訳題は、原作での副題でもある、"Hayate the Combat Butler"でした。…また推察ですが、原題よりも副題の方が、英語圏の伝統というか、英語表現として「読者」にとって好ましい形なのかも知れません。
リディア:有名な文学を引き合いに出すのが適切かどうか、ちょっと怪しいけれど…、例えば『ロビンソン・クルーソー』では、いったいこのロビンソンなる人物はどのような人なのか、10数行を割いて、タイトルページで説明しているのね。
犬   :どこの出身で、何歳の時に船乗りになり、いつの航海で遭難し、無人島に漂着してから何年間を独りで生き抜いた…などなど。
リディア:日本の文庫本で背表紙などにあらすじを載せる要領で、英語圏ではあらすじよりも人物像を、かなり詳しく読者に把握させる手続きが必要だと、伝統的に認識されていたようなの。
犬   :さすがに近代文学の常識を、そのまま基準にして翻訳マンガを解釈するのは無理無法でしょう。しかし、英語圏の人達が「読む」事は、多かれ少なかれ、この伝統を受け継いで行われているはずです。
リディア:さっきの『ネギま!』でも、サブタイトルとして称号を掲げて、簡単な人物像を示していたわよね。映像作品の例では、最近でこそ"Conan"や"Hulk"で済ませられたけれど、原作となった媒体では"Conan the Conqueror"や"The Incredible Hulk"と題していたでしょう?
犬   :そういう文化の中に『ハヤテのごとく!』という原題で持っていっても「ハヤテって誰だよ?」とツッこまれるのは必至ですね。
リディア:一方で、この題を見ただけで、借金1億5680万4000円のカタとしてヤクザに売り飛ばされたものの逃げ出して、街で見かけた少女を誘拐して身代金を取って借金を返そうと思ったら、なぜかその三千院ナギちゃんに気に入られて、しかも大金持ちの子だったナギちゃんが借金を立て替えてくれたので、代償として執事になった高校1年生、綾崎ハヤテの事だな、と直感できるのが、日本の読者達というわけね。
犬   :…日本人凄え……。
リディア:次のタイトルは、"The little great detective Conan"だわ。
犬   :あれですね「身体は子供、中の人は林原」という名セリフが、よく踏まえられた訳題ですね。
リディア:…言いたい事は色々あるけれど、ともあれ、うまくできているように見えなくもないからには、嘘タイトルだという事よね?
犬   :まずは表紙絵をご覧下さい。
リディア:正しい英題は"Case Closed"ね。コナン君の名前は跡形もなくなっているけれど、アメリカでは仕方ないかしらね。
犬   :先にあげた征服王だったり蛮人だったりする人が、同じ名前の主人公としてあまりにも有名となっていますからね。…訳題は「謎はすべて解けた!」を訳したものと考えて間違いないでしょう。
リディア:これ、なかなかの名訳よね。
犬   :この2語が題として使われたのは、意味からして必然でもありますが、隠されてしまった主人公の名前も合わせて、語頭がk音で揃えられていますよね。
リディア:いわゆる頭韻ね。
犬   :軽く調べてみたところ、コナン君の英表記は"Conan"でした。ですから音に加えて字も揃えられています。…こうして、表には出さずとも、ちゃんと主人公の名前も踏まえられている、と考えるのは穿ちすぎでしょうか、それとも…
リディア:気がつくかどうか、訳者からの挑戦状だったと解釈すべきか…。真偽はともかく、そう考えておいた方が面白くはあるわね。
犬   :さて次ですね。"Ultimate Weapon Steady"
リディア:もうそのまま『最終兵器彼女』ね。…で、正解は?
犬   :……これ見て下さい。
リディア:投げ遣りねえ。そんな事では、彼女ができる最終チャンスも逃しちゃうわよ?
犬   :今さらいらないやい!
リディア:はいはい。…さて正しい英題は"Saikano"でした。
犬   :これで通じるんですねえ…。なお『彼氏彼女の事情』も似た英題をつけられています。
リディア:初めの方で触れた、訳す訳さないの話題をもう一度すると、今や、訳す必要もなくなっているという場合もあるのかしらね。
犬   :ネット万能時代を迎えて、母語で読めるようになるより先に、海外作品のあらましが広く知れ渡っている事も珍しくない、という事ですね。
リディア:タイトルを英訳したり、原題そのままを掲げたりするより、日本の読者達による呼び方で出版した方が通り易い。そんな状況でないと、こんな題にはならないわよね。
犬   :まあこれも『きみはペット』と似たように、人権云々があって忠実な訳を避けたとも考えられますけどね。
リディア:悲劇性の強い、人体改造譚でもあるからね。
犬   :さていよいよ最後です。"YOTSUBA&!"
リディア:文法からすると、アンドマークが先にきてもよさそうだけれど…。
犬   :表紙絵はこれです。なお、読み方はヨツバトでいいみたいです。
リディア:この『よつばと!』は、最初に訳を手がけた出版社が、だんだん仕事が疎かになった揚げ句に、会社ごとなくなってしまったという経緯があったそうね。
犬   :ええ。5巻か6巻までそこが出版して、それっきりになってしまうのかと心配されていたようです。でも今年になって新たな訳社が現れて、そこがまた1巻から出版し直しているみたいですね。
リディア:…というわけで、今日の正解は、boys over flowers、Knights of the Zodiac、そしてYOTSUBA&!。以上3つね。…アンサーアンサーでの仕様に合わせて、最低でも4つは入れると言っていたのに、なんてウソつきなのかしら!
犬   :……このクイズはフィクションです。
リディア:開き直ったわ!



posted by 負犬山禎之丞 at 17:29| Comment(2) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私の文脈読み違えかも知れませんが、中身が林原なのは灰原では?
コナン君の中の人は、ネクストキングの秘宝コレクターで有名な高山みなみさんです。
しかし蛙軍曹ってタイトルで、中身があんなガンプラ漫画とは思わないだろうなあ・・・
Posted by 鯛千代 at 2009年12月13日 23:43
漫画を読んでいないのでコメントできない(おい)
えーと…、全部読んでいるのは『ネギま!』だけですなあ。

あと、ほとんどの声優さんは、私の中では混然一如としております(蹴)
Posted by 負犬山禎之丞 at 2009年12月14日 09:34
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