2009年10月13日

今日の問題 「歯」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。いよいよ微ニューアル第1弾ね?
犬   :微といえるほどすらも変えてませんけどね!
リディア:そんな事はないと思うわ? これからは今までと違って、この後になるまで問題を見せないのだもの。きっと、いったいどんなクイズが出されるのか、ドキドキしながら待っていた人もいっぱいいると思うわ。
犬   :そ、そうでしょうかね! だったら嬉しく思います!
リディア:まあ、読者さんの中にはいないと思うけど。
犬   :じゃあ、どこにいるんですか!
リディア:それは…、そう、あなたの心の中によ!
犬   :エア読者ですねっ!
リディア:では、さっそく今日のクイズを出してちょうだい?
犬   :はい、では、こんな問題。

 ヒトより歯の数が多い動物。

  イヌ   モルモット
  ブタ   モグラ
  イノシシ ゾウ
  ウマ   ワニ
  アリクイ バンドウイルカ

犬   :いきなり、ツッコミを受ける余地がある問題かも知れませんね。
リディア:ヒトの歯を何本と見なすか…、いわゆる親知らずも数えれば32本だし、除くなら28本よね。
犬   :まあ、その範囲に当たる動物は、選択肢に入れていませんから、問題として成立はしています。
リディア:今までよりは、怪しい選択肢を混ぜてしまうおそれは減らせそうね。
犬   :はい。では解説…といいますか、答え合わせを始めてしまいましょう。
リディア:選択肢にあげた動物の、歯の数は以下の通りなの。

  イヌ   42本 モルモット 20本
  ブタ   44本 モグラ   42本
  イノシシ 44本 ゾウ    26本
  ウマ   40本 ワニ   約80本
  アリクイ 0本 バンドウイルカ 約120本

犬   :というわけで正解は、イヌ、ブタ、モグラ、イノシシ、ウマ、ワニ、バンドウイルカ。以上7つです。
リディア:さて、これで終わらせてしまっては、ちょっともったいないわね。…おしなべて「歯」と呼ばれるものにも、動物によって様々な特徴があるの。
犬   :歯を持つ動物は、主に哺乳類ですけど、その中でも種によって本数がまちまちなのは、上で見ていただいた通りです。
リディア:首や脚など、主要な部位の骨の数はだいたい同じなのにね。まあ、歯は、骨ではないけれど。
犬   :ではこれからしばらく、選択肢の動物すべてを、とはいきませんが、いくつか紹介してみましょう。…近い種類の動物でどうなっているかは調べていないなど、至らないところも多くありますが、ご容赦のほどを。
リディア:いちばん気になったのは、バンドウイルカではないかしら?
犬   :他の選択肢と比べて、種が限定されていたり、群を抜いて数が多かったりしますしね。
リディア:しかも、約だし。
犬   :約、という点ではワニも該当しますが、これは後回しにします。…さて、イルカなど、海に住む哺乳類で歯を持つ動物は、ハクジラ亜目に分類されるそうです。彼等の歯にまつわるいちばんの特徴は、同じ種であっても個体差が大きい事なんです。
リディア:その中では、バンドウイルカは個体差が小さい方なの。他の種では、80本から140本の間とか、そのくらい開きがあるようね。
犬   :また、10本以下しかない種も、僅かながらあるんです。他の種はみな、ヒトより多く生えるそうですね。
リディア:もう1つ、ハクジラ達の歯がもつ特徴は、一生の間ずっと生え替わらない事。生まれた時から永久歯なの。
犬   :彼等とは逆に、頻繁に生え替わる動物もいます。哺乳類では、ゾウがそうですね。
リディア:ただし、奥歯だけなの。牙が生え替わってくれたら、きっと象牙の密猟なんかしなくて済むのにね。
犬   :一生の間に5回も生え替わるそうですからね。…生え替わりにおいては、ワニに優る動物はいないと思いますが、それは後回し。
リディア:生え替わる代わりに、ずっと伸び続ける動物もいるの。代表的なものは、選択肢に入れたモルモットね。
犬   :しょっちゅう固いものを囓っているのは、伸びすぎないように削るためだと言われています。
リディア:ウサギの前歯も、そうらしいわね。
犬   :ウサギの歯は28本。だから選択肢には入れられなかったんです。こういう特徴がある歯を持つ動物を、優先したかったんですけどね。
リディア:伸び続ける歯を持つ動物には、ブタもいるわ。
犬   :ブタの場合は、前歯の隣、尖った犬歯がそれに当たります。そして、もっと特徴的な事は、伸び続けるのはオスだけだという事ですね。
リディア:メスのブタは、犬歯の成長も止まるそうね。オスが保つ大きさよりも、少し小さくしか育たないらしいわ。
犬   :モルモット以外の、伸び続ける動物は、日常の食事で適切な長さに削れてしまうんだそうです。…他に、特徴がある歯を持つ動物としては、モグラがあげられるでしょうか。
リディア:奥歯、つまり臼歯の特徴ね。他の動物と違って、モグラの臼歯は突起を備えているの。
犬   :臼歯全体が尖っているのではありませんよ?
リディア:この突起で、獲物をグサッとやって捕まえていると言われているわね。…歯の特徴ではないけれど、モグラの仲間は、1日に自分の体重と等しいほどの虫やミミズを食べるそうよ。
犬   :さて次…、最初に紹介したバンドウイルカと対照的なのが、歯を持たないアリクイでしょうか。
リディア:アリクイの獲物、つまりアリって、地面を掘るにしろ蟻塚を作るにしろ、狭い穴の中に住んでいるわよね? だから、獲物を囓るための歯は、あってもほとんど役に立たないのよ。
犬   :退化してしまったのでしょうね。代わりにアリクイは、細長く、そして満遍なくネバネバしている舌を、巣の中へ伸ばし入れて、虫取り紙のようにアリをたんまりと貼りつかせて、舌を収めると同時に丸呑みしてしまうのだそうです。
リディア:さて、選択肢の中でもっとも歯に特徴があると言えそうなのはワニなのだけれど、もうちょっと後回しにするわね。
犬   :ここで寄り道をしまして、選択肢に入れられなかった哺乳類、ヤギとウシとを採りあげます。
リディア:この仲間は32本の歯を持つの。ただ、ヒトとは違って、上顎に前歯が生えていないのが大きな特徴ね。
犬   :草食動物ですから、臼歯を発達させてきたのは理に適っていますが、前歯の一部を退化させてしまったところが、ウマとは違いますね。
リディア:退化していなかったら、ウマと同じで40本だったかも知れないわね。
犬   :ヤギやウシは、歯の代わりとなるくらいに、上唇が固くなっているそうです。…どうしてウマの仲間はそうならなかったのか、調べられなかったんですが…、
リディア:おそらくだけど、求愛行動において、上唇を特徴的に動かす事と関係があるかも知れないわね。それなりに柔らかくないと困るのだと思うわ。
犬   :では、いよいよワニさんのお話ですよ〜。
リディア:選択肢にあげた他の動物と、もっとも違うのは、哺乳類ではない事ね。
犬   :すべてがそうとは言い切れませんが、哺乳類以外の動物が持つ歯は、食事…咀嚼のためにあるのではないみたいです。なんと言っても、臼歯の機能を持つ歯がないんですよね。
リディア:ピラニアなんかもそうだけれど、すべての歯が鋭く尖っているわよね。獲物を囓ったり千切ったりはするけれど、切り取った肉は噛まずに丸呑みしてしまうでしょう?
犬   :多くのカエルも、歯の機能は似たものみたいですね。カエルの場合は、下顎には歯がなくて、上顎と、口腔…ヒトで言えば上顎の奥の、ドーム状になった部分ですね…その天井辺りに生えているそうです。
リディア:これらの歯は、獲物を押さえつけたり、飲み込める形に押し潰したりするためにあると言われているの。哺乳類のようにモグモグとはさせないから、やっぱり噛む機能があるとは言えないのよね。
犬   :コブラなどの蛇も、近い機能を持っていますね。…ちっともワニさんの話をしてませんね…。
リディア:上顎の前部に2本生えた、毒牙には、機能のみならず、構造においても大きな特徴があるの。
犬   :折りたたみ式なんですよね。
リディア:…ちょっと違うかしら。普段は口の奥に向かって寝ていて、捕食するために大きく口を開いた時にだけ、シャキーンと起き上がるの。ポップアップ式と言えば当たっているかしらね。
犬   :毒蛇の場合は、獲物が刺さると、自動的に毒が送り出されるそうです。いずれにしろ、たった2本の牙では咀嚼はできません。獲物を丸呑みするために、顎を外してしまう事はご存じの方もいらっしゃるでしょう。
リディア:それからね、牙の…幹とでも言おうかしら、その途中から枝分かれする形で、歯先が折れた時のための替え歯が生えているんですって。
犬   :はい。その替え歯が、いちばん大きな特徴となっているのが、ワニさんの歯なんです。
リディア:歯の数は、解答でも示した通り、約80本。その1本1本が、常に3本くらいの歯を重ねた状態になっているのだそうよ。
犬   :…みなさん、ロケット鉛筆ってご存じですかね?
リディア:芯が刺さったプラスチック製の部品が、軸の中に7つか8つか、縦に繋がって入れられているものよね。
犬   :先頭の部品に刺さった芯が、ちびたり折れたりしたら、それを抜き取って軸のお尻に押し込むと、次の部品が押し出されてくる、アレです。…ワニの歯は、それに近い感じで、表に出ている歯が折れてしまうと、次の歯が押し出されてくるのだそうです。
リディア:一生の間に、20回以上も生え替わるらしいの。80本の歯がそんなだから、生涯のうちに生える歯は2000本にものぼると言われるわ。そこまでして、常に尖った新しい歯を備えるのも、ワニの歯…というより、口全体の役割が特徴的だからなのよね。
犬   :ワニの仲間は、口全体を武器として発達させてきたらしいんですね。一方で、舌が完全に退化してしまった事にも現れているように、獲物を食べる機能はほぼ失っているようです。
リディア:食べる時には、獲物を咥えたまま上を向いて、口の中へ落として丸呑みするのよね。せいぜい、獲物を咥えて押さえつけるために、歯を使う程度かしら。
犬   :ここまでくると、ワニの口には食物の入り口以上の機能はないと言っても過言じゃないかも知れません。
リディア:さて…最後に1つ。歯を持つ動物は、顎の骨にくっついているものと、くっついていないものと、というようにも分けられるの。前者には、ワニなどが該当するわ。
犬   :後者の代表は、ヒトなど哺乳類、歯茎をもつ動物ですね。またサメなど、魚類のうちで鱗を鋭利に発達させた動物は、口の皮膚と繋がっているそうです。…学が浅くて、魚類のすべてがどうなのかは存じません。すみません。
リディア:では、解説はこのくらいでいいかしら。
犬   :いい歯の日も近い事ですし、みなさん歯を大事にしましょうね!
リディア:まだ1か月くらいあると思うけど…。
犬   :それでは、今日の問題はこちら
リディア:待ちなさい!
犬   :はい?
リディア:スタイル変えたのではなかったの!?
犬   :まあ、まずは問題を見て下さい。

  芥川龍之介が、切支丹ものを書く際に参照した彼の蔵書だと紹介した、架空の
  書物のタイトルは何?

犬   :こういう問題は、答え合わせをするまでに、考えたり調べてみたりする時間があった方が面白いと思うんですよ。
リディア:まあ、一理はあるかもね。
犬   :問題としては、我ながら、重箱の隅な感もあります。ですがアンサーアンサーの問題で『西洋珍説 人肉質入裁判』を見かけたんですよね。
リディア:…ああ、『ベニスの商人』が、初めはそう訳されていたわね。
犬   :問題を作る人が、明治文学の目立たない部分に注目を向けているなら、今回の問題もいい予習になるかも知れません。
リディア:その筋では有名な話でもあるからね。…案外、あなたが見ていないだけで、もう出題されているかも知れないわね。
犬   :それだけが心配です。
リディア:じゃ、先生からもおまけ。『ポカホンタス』が日本に初めて紹介された時のタイトルは『一蛮女、英国紳士に懸想す』なのよ。
犬   :…なんかの文学雑誌で見た事ありますけど、ネットで裏が取れないんですよね、それ。


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posted by 負犬山禎之丞 at 21:02| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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