2009年10月02日

今日の解説 「武豊以外」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。気がつけばクイズブログでさえなくなっているわね。
犬   :ああああああ。おっしゃる通りでございます…。こんなダメダメな僕はブログに穴掘って埋ま
リディア:すでに穴を空けてはいるけれどね。
犬   :ぎゃおおおん!
リディア:キャラくらい固定しなさいよ。
犬   :ううう、1人を演じきるのって、難しいんですね…。
リディア:では、1人を乗せ続けられなかったお馬さん達についてのクイズを解説しましょう。
犬   :我ながら無理矢理だなあ…。

  武豊以外の騎手を乗せて重賞を勝っている馬。

   メジロマックイーン ナリタタイシン
   スペシャルウイーク エアグルーヴ
   バトルライン    バンブーメモリー
   ステイゴールド   サイレンススズカ
   ダンスパートナー  シーキングザパール

リディア:解説を始めるに当たって、まずはちょっとだけ問題の趣旨を変えてみようかしら。
犬   :と、言いますと?
リディア:問題では、重賞となっているけれど、その前にGⅠタイトルだけに注目してみようと思うの。
犬   :なるほど、段階別の解説方式を採るわけですね?
リディア:そんなにたいそうなものではないけれど…。
犬   :では、他の騎手の手でも、GⅠを勝っている馬を探しましょう。
リディア:その中でもまずは、武さんの手綱では、1つもGⅠを勝っていない馬がいるわね。
犬   :ええっ?
リディア:どうして出題者のあなたが驚いているのよ…。
犬   :冗談です。それはサイレンススズカですね。
リディア:98年の2月から、武さんを鞍上に迎え、あの天皇賞で不慮の事故に遭うまで、無敵の強さを誇った馬だったけれど、戴冠したGⅠは宝塚記念だけだったわね。
犬   :春の古馬GⅠは、長距離かマイル以下かに偏っています。中距離でこそ破格の強さを誇った彼にとって、ここぞという舞台に恵まれないシーズンでした。
リディア:その宝塚記念で、武騎手は先約があったマーベラスサンデーを選んだの。サイレンススズカに騎乗したのは、南井克巳騎手。
犬   :上村洋行騎手が乗ったサイレンススズカを、前年の神戸新聞杯で破っていた人でした。
リディア:他には、河内洋騎手がこの馬に乗っているわね。
犬   :さて、次にあげるべきは…、メジロマックイーンでしょうか。
リディア:初めて春の天皇賞を連覇した時や、秋の天皇賞での大降着処分や…、良きにつけ悪しきにつけ、何かと武さんの印象が強い馬だけれど、初めてのGⅠ、90年の菊花賞では内田浩一騎手が乗っていたのよね。
犬   :底知れぬスタミナが開花するまで、むしろパッとしない馬だったマックを、じっくりと育ててきたのはこの人でした。
リディア:マックイーンから4つ上の兄で、同じく菊花賞馬のメジロデュレンが、前哨戦としたのが、嵐山ステークスというレース。縁起を担いだのかしら、マックイーンもこのレースに挑んだけれど、2着に敗れてしまったのよね。
犬   :聞くところでは、この後で騎手を替えてくれと要望されていたそうです。しかし池江調教師は、マック自身の長距離適正が群を抜いていると信じていた事、そして、なんとかして弟子にチャンスをやりたかった事とで、もう1度だけという条件で内田騎手を乗せたのだそうです。
リディア:他に、兄デュレンのパートナーだった村本善之騎手も、マックイーンの手綱を取った事があるわね。
犬   :続いて紹介するのは、バンブーメモリー。
リディア:89年のマイルチャンピオンシップで、オグリキャップとの叩き合いを演じた末に、並んでゴール。杉本博アナウンサーが「負けられない南井、譲れない武豊」と実況した事もあって、武さんと組んでの印象も強いと思うの。
犬   :武邦彦厩舎の馬でしたしね。ですがその半年前、安田記念を勝った時には、岡部幸雄騎手が手綱を取っていました。
リディア:その秋、マイルCSの直前には、松永昌博騎手を乗せてスワンステークスをかっているわね。
犬   :上記のマイルCSではオグリキャップに敗れましたから、武騎手と組んで重賞を勝ったのは、翌90年夏の高松宮杯が最初となります。
リディア:そして12月のスプリンターズステークスで、GⅠも勝ったわね。
犬   :他には河内洋騎手、岸滋彦騎手、田原成貴騎手が、バンブーメモリーに乗っています。
リディア:武さん以外の人でGⅠを勝ったのは、あと1頭、ダンスパートナーね。
犬   :サンデーサイレンス初年度産駒、牝馬の代表格として95年のオークスを勝ち、秋にはフランス遠征。この馬も武騎手の名相棒だと思われがちですが、武騎手が手綱を取ったのは全25戦のうち9戦しかありません。
リディア:96年、初めて古馬に開放されたエリザベス女王杯を勝った時には、四位洋文騎手が乗っていたわね。同年の春に京阪杯を勝った時にもこの人だったわ。
犬   :デビュー戦の手綱を取ったのは増井裕騎手。他に角田晃一騎手、蛯名正義騎手、河内洋騎手も乗っています。
リディア:というわけで、これまでの4頭はすべて正解。残る6頭は、ナリタタイシン、スペシャルウイーク、エアグルーヴ、バトルライン、ステイゴールド、シーキングザパールね。
犬   :順番に見て行きますと、まずはナリタタイシン。武騎手を背に、93年の皐月賞と、94年の目黒記念を勝っています。ダービー3着や天皇賞2着もありましたね。
リディア:でも、初めて重賞を獲った、92年のラジオたんぱ杯3歳ステークスでは、清水英次騎手が乗っていたのよね。この馬が、追い込んでこそ味があると見抜いたのは、清水騎手だったとも言われているわ。
犬   :他には横山典弘騎手、内山正博騎手、山田泰誠騎手が乗っています。
リディア:次はスペシャルウイーク。日本ダービー5勝を飾っている武さんに、初めてダービージョッキーの称号を獲らせた馬よね。
犬   :それが98年の事でした。他にも99年の春秋天皇賞など、武騎手を背にして勝ち取った重賞は枚挙に暇がありません。
リディア:ディープインパクトが現れた後の今になっても、武さんのベストパートナーはこっちだと推す声もあるわね。
犬   :一方、やっぱりディープだろうと推す人達の中には、ディープと違いスペシャルウイークは、他の騎手を乗せてしまった事を理由にする人もいます。他の騎手とは、岡部幸雄騎手と、オリビエ・ペリエ騎手とですね。
リディア:2人のうちで、ペリエ騎手は、99年のアメリカジョッキークラブカップで勝った時の鞍上だったわね。
犬   :僕の記憶がおぼろげでアレですが、武騎手はこの時、アメリカに短期遠征していたはずです。
リディア:次の馬は、エアグルーヴね。96年のオークスを武さんで勝って、母子制覇を達成。また97年の天皇賞・秋では、距離短縮後としては初めて牝馬の優勝を果たしたのだったわね。
犬   :この馬も、やはり武騎手との印象が強いと思われますが、96年にチューリップ賞を勝って、桜花賞への権利を固くさせたのはペリエ騎手でした。
リディア:その時まで、武さんとエアグルーヴとは、乗ったり乗らなかったりと宙ぶらりんな間柄だったの。というのも、この世代、1993年生まれの牝馬は粒ぞろいでね。
犬   :武騎手と縁がなかった馬も含めて、思いつくままあげてみますと、リトルオードリー、シーズアチャンス、マックスロゼ、ビワハイジ、シーズグレイス、ロゼカラー、イブキパーシヴ、ノースサンデー、アジュディケーター、エリモシック、センターライジング、ファイトガリバー、カネトシシェーバー、ファビラスラフイン、スーパーオトメ…
リディア:最後の違うでしょ!
犬   :いやこの世代ですって。
リディア:そうじゃなくて! 大井だし、違う意味で注目されてたし!
犬   :調教中に助手さんを振り落とした後、首都高で3000メートルの長丁場を、鉄の塊相手に勝ち抜いたんですよ。世代最強に決まってるじゃないですか。
リディア:…もう、そういう事でいいわよ…。
犬   :まあ、そんな綺羅星世代でした。
リディア:そんな強い馬同士で、武さんの取り合いをしていたし、武さんとしても、この馬で、と決めかねてしまったのよね。
犬   :前年暮れの阪神3歳牝馬ステークスには、それまで主に武騎手が乗っていた馬が、5頭くらい顔を合わせたと思います。
リディア:そこで勝ったのも、武さんが選ばなかった1頭、ビワハイジ。ブエナビスタのママね。
犬   :エアグルーヴも、この時は選ばれなかった1頭でした。鞍上はイベント来日中だったマイケル・キネーン騎手。
リディア:イベントというのは、その週に阪神で行われた海外騎手招待レースなの。外国籍の騎手がJRAで乗るには、普通は短期免許を必要とするけれど、イベント当日に限っては、そういう手続きなしに騎乗できるのよ。
犬   :後にキネーン騎手は、このレースをヤマカツスズランで勝ち、イベント騎手としては、…今でも唯一のGⅠ勝ちでしたかね。
リディア:さて…、チューリップ賞を最後に、短期免許のペリエ騎手から、武さんに手替わりする事になって、やっとエアグルーヴ−武コンビが固まるの。…だけど桜花賞前にエアグルーヴが発熱してしまって、このコンビで戴冠するのはオークスまでお預けになったのね。
犬   :その後、1度だけ横山典弘騎手に手綱がわたった他は、武騎手が乗り続けました。
リディア:次はバトルラインね。もしかしたらこの馬には、武さんよりも横山典弘騎手の印象の方が強いかも知れないわね。
犬   :ユニコーンステークスでの降着があっての事ですから、横山騎手にとっては不名誉でしょうけどね。
リディア:古馬になってから武さんに手替わりして、97年のプロキオンステークス、かしわ記念、エルムステークスと勝っているわ。
犬   :GⅠ帝王賞での2着もありましたね。…しかしその後、武騎手の手はエムアイブランなどに移り、他の騎手を迎えたバトルラインは、勝ちきれないレースを繰り返すようになりました。
リディア:だけど、そのまま窄んでしまったのでもなく、98年の全日本サラブレッドカップで、4つめの重賞勝ちを収めたのよね。この時の鞍上は藤田伸二騎手。
犬   :この頃はまだ、かしわ記念がGⅠではありませんでしたから、バトルラインはとうとうGⅠを勝つ事は叶わずに競走生活を終えています。彼には他に、岡部幸雄騎手、熊沢重文騎手が乗っています。
リディア:続いては、ステイゴールド。…この馬を、武さんの相棒と呼ぶのには、異論も強いと思うわ。
犬   :重賞戦線に名乗りをあげた頃の鞍上は、熊沢重文騎手。GⅠ、GⅡで2着3着を何度も繰り返しながら、準オープンさえ勝っていない変わり種として、妙な人気を博しました。
リディア:200年の初夏、GⅡ目黒記念でついに重賞を獲ったけれど、手綱を取ったのは初騎乗だった武さん。
犬   :勝ってよかったけど、やっぱり武かよ、と複雑な気持ちになった方も多いようです。
リディア:翌年1月には、日経新春杯を藤田伸二騎手の手綱で勝って、2つ目の重賞を獲ったの。この時も武さんはアメリカ遠征中だったかしら。
犬   :そして春、ついに海外、ドバイへ飛んで、武騎手の手綱で、ドバイシーマクラシックを勝ちました。…今だったら、これもGⅠなんですけどねえ…。
リディア:その後は秋シーズンまで日本で走ったけど、より若い世代の台頭に圧されて、前年までと比べたら、多少不本意な着順に甘んじていたわ。秋の京都大賞典で勝ったかと思ったら失格になったりして…。
犬   :とうとう史上最強のGⅡコレクターで終わってしまうかと思われながら、引退レースに選んだのは香港ヴァーズでした。海外とはいえ空路での移動ですから、ノウハウを積んだ関係者にとっては、車で小倉や福島へ輸送するより楽だとか言われますね。
リディア:そして引退レースで、ステイゴールドはついに悲願のGⅠを勝ったのでした。めでたしめでたし。
犬   :熊沢騎手、武騎手の他には、オリビエ・ペリエ騎手、安藤勝己騎手、後藤浩輝騎手を乗せています。
リディア:さて最後に残ったのは、シーキングザパールね。
犬   :アメリカ生まれのスピードクイーンでした。96年のデイリー杯3歳ステークスでまずタイトルを獲ると、翌年にはシンザン記念、フラワーカップ、ニュージーランドトロフィー4歳ステークス、そしてNHKマイルカップでGⅠを獲るまで負け知らず。古馬になった98年にもシルクロードステークスSを勝ち、そして同年8月、フランスのモーリスドゲスト賞で、日本調教馬として初の海外GⅠ制覇を遂げました。いずれも鞍上は武騎手でした。
リディア:はい、この馬だけが、今回の不正解だったのね。
犬   :最後の数ヶ月はアメリカの厩舎へ移籍し、そのまま向こうで繁殖生活に入ったんでしたね。まあ移籍後はともかく、日本にいた間は、最後まで武騎手だけを乗せていた…と思っていたんですが、調べてみたら違ったんですね。
リディア:98年のマイルチャンピオンシップだけ、河内洋騎手を乗せているの。どうして武さんが乗らなかったかというと…、この前後、騎乗停止処分を受けていたのよね。
犬   :ピンときた方もいらっしゃるでしょう。この年11月7日、翌年のダービー馬、アドマイヤベガが新馬戦で降着となり、乗っていた武騎手には、実質1か月の処分が下されたんでした。
リディア:エアグルーヴに横山騎手が、スペシャルウイークに岡部騎手が乗ったのも、同じ理由からだったの。……それじゃ、解説はこのくらいでいいかしら。
犬   :ところで、これまでは次のクイズを出題して締めくくっていましたが、今後はスタイルを改める事にしました。
リディア:冒頭でもう一度、問題を掲げ直しているのだから、だったらそこで初めて見てもらうのでもいい、と思ったわけね?
犬   :はい。そんなわけで、今回はこれでお開きにします。



posted by 負犬山禎之丞 at 20:58| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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