2009年07月27日

今日の解説 「部首」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。ここを放ったらかしにしている間に、予選どころか決勝戦まで終わっちゃったじゃないの。
犬   :お詫びの言葉もございません…。
リディア:まあいいわ。まずは予選の結果から訊こうかしら?
犬   :はい。110階まで登って、1182位でした。
リディア:そう。そこそこの順位でまとめたわね。…それじゃ、決勝では?
犬   :101階で力尽きて、1183位でした。
リディア:……ねえ、今、凄く悔しがっているとか?
犬   :誰だろう、頑張っちゃった1人って……。
リディア:それにしても、決勝でベスト1000に入れなかったのは残念ね。
犬   :日曜の15時ごろには、500位台だったんですよね。だから大丈夫だろうと思ってたんですが…、追い上げを受けちゃいましたね。やっぱり、今回に限ってはレベルの高いアンサーさんだけが集まってたんでしょう。
リディア:…それじゃ、結果報告はこれまでにして、解説を始めましょう。

  部首が1画の漢字。
   二 三 千 串 主 乏 乾 事 交 正

リディア:さてと、解説に入る前に、みんなに訊いてみたいの。何でもいいから、部首を1つあげてみて?
犬   :んー…。僕なら、やっぱり名前に使っている字から、しめすへんと答えましょう。
リディア:うんうん。…他にもまあ、にんべんだったり、さんずいだったり、しんにょうとか、もんがまえとか…、まあ、何かしら名前がつけられているもの…だと思っていないかしら?
犬   :え? …あ、本当だ、ないのもあるんですね。…というか、辞書で見ると、名前がついてない部首ばかりじゃないですか!
リディア:そうなのよ。…そのような部首でも、読み方を示している資料もあるけれど、辞書に載っていないものは、名前で呼ばれる事がない、名前がないに等しいと見ていいと思うの。そのような部首はたいてい、学習漢字や当用漢字を多く含んでいないものね。
犬   :ますます、便宜上のものでしかないって感じを強く受けますね…。
リディア:特に、負犬山くんが拾ってきた、一画の部首。調べてみた人なら、6つあるのはわかってると思うけれど、そのうちで名前がついているのは1つだけね。
犬   :うわ…。なんか、説明が大変そうだ…。
リディア:…でも、6つすべてが、部首の形そのままで、1つの漢字として使われているの。だから今日は、部首としての他に、一字で使われた時の読み方や意味についても説明していこうと思うの。
犬   :そうですね。ではさっそく…。
リディア:1画の漢字と言われたら、まず思い浮かぶのは「一」でしょうね。
犬   :これは、意味も読みも、いいですよね?
リディア:読み方は、特殊なものもいっぱいあるけれど、今回のテーマから外れるから、今日は触れないわ。
犬   :部首とした場合、選択肢としてあげた中では「三」が該当します。他には…、両、万、下、上、それに、僕の名前にある、丞などが、一の部とされていますね。
リディア:文字の上や下に、横棒を引く形がこれ…とは言い切れないの。
犬   :例えば、三と字形の似た「二」は、それ自体部首になって、一の部からは外れています。「主」はあとで説明します。「正」は、止の部に属するんですね。
リディア:次。…1画の漢字のうち、学習漢字に入っているのはもう1つ、「乙」ね。
犬   :…今日まで2画だと思ってました…。
リディア:意味は、死んでいいよ、だったかしら?
犬   :それは特殊なコミュニティでしか通用しないかと…。
リディア:教員免許取ったのに、画数を知らなかった負犬山くん乙。
犬   :うわあああん!
リディア:冗談はさておいて、この字が単独で使われる場合、ほとんどが暦の中に見られると思うわ。
犬   :十二支と併用される十干(ジッカン)の2番目「きのと」ですね。ここから転じて、字自体も「2番目」という意味を持つようになったみたいです。
リディア:他には、曲がる、魚のはらわた、粋である、愛らしいなどの意味があるわ。
犬   :乙女とか乙姫とかは、最後の意味からきてますね。
リディア:そして、部首として使われる場合、「おつにょう」という名前がついているわ。
犬   :この形そのままの「乾」「乞」 ちょっと横に伸びて「九」「丸」などに見られます。
リディア:みんなの大好きな「乳」も、ボヨンボヨンと「乱」れるのもそうなのよ?
犬   :だからおつぱいって言うんですかね!?
リディア:おっぱい繋がりで言うと、1画の漢字には「h」という字があって、深い谷間を表しているの。
犬   :嘘ですからね!? …見た事もないと言う方も多いと思いますが、音読みはコン。
リディア:この字は不思議で、下から上に書くと、進むという意味になるけど、上から書くと、退くという意味になるそうなの。
犬   :木版印刷の時代までは、字形をいじって区別できていたでしょうが、近代以降はどうしようもなくなったんじゃないでしょうかね。
リディア:部首としては、…これがまた、該当する字のほとんどが、滅多に見られないものなのよね。
犬   :常用される字としては「中」と、選択肢に入れた「串」の2つだけと言っていいでしょう。
リディア:次の1画漢字は「丶」 これは、見てわかる通り、乳首の事ね。
犬   :どうしておっぱいに繋げようとするんですか!?
リディア:だって、なんだか無機的じゃない? だからみんなが興味を示しやすいようにと思って。
犬   :セクシーポーズ決めながら言わないで下さい!
リディア:音読みはチュッ。
犬   :ッが余計ですっ!
リディア:さて、本当の意味はね…、点。
犬   :古文や漢文の授業で見る文章には、句読点が使われていませんよね。それから時代が下ると、文の区切りや、重要なところに打つ印が使われるようになりました。
リディア:その段階では、機能を持った記号としてより、意味や音をもった文字として見られていたようね。
犬   :機能を持った特別な字、という扱いを受けていたかも知れません。
リディア:やがて、隅っこや下の方に打たれるようになって、今の読点の形が出来上がったり、字の横に打たれるようになって、圏点の形になっていったりした、と考えられているの。
犬   :なおこの字は「主」の原形とも言われています。灯火皿の上で燃えている火の形が「丶」で、それに燭台が付いた形が「主」だという説があるんですね。
リディア:よって当然「主」は丶の部に属するの。他には「之」「丹」がここに属するわね。
犬   :形は似ていますが「交」は違います。「なべぶた」の部ですよね。横棒にまっすぐくっついているか、斜めに乗っかっているだけかの違いですが。
リディア:さて、1画の漢字、5つめは「丿」 上半身を右へ激しく捻った時に、おっぱいが左へねじれ残った様子ね。
犬   :だいぶ苦しい解釈になってきましたね?
リディア:右から左へ曲がる、という意味は本当なのだけどね。音読みはヘツ、ヘチ。
犬   :戦国末期から桃山時代に、丿貫(ヘチカン)という茶人がいたそうです。左曲がりのダンディだったかどうかは存じませんが。
リディア:部首としては「及」「久」「乃」「乗」 そして「乏」などがあるわね。
犬   :「千」は十の部として扱われます。
リディア:最後に残った1画の漢字は「亅」 音読みはケツ。セクシーなお尻を表しているの。
犬   :読み方がちっともセクシーじゃありませんよ! ものを吊すための鉤を元にした象形文字で、意味もズバリ、鉤です。
リディア:選択肢の中で最後に残った「事」は、この部に入るの。他には「了」「予」「争」が当てはまるわね。
犬   :では改めて…。正解は三、串、主、乏、乾、事の6つですね。…しかしまあ、たったこれだけを見ても、同じような形に見えるのに違う部首とされている例が少なくありませんねえ。
リディア:それでも、たいていの辞書では、ある部首だと間違えて引いたとしても、本当はどの部首だとか、何ページを見れば載っているとか案内されているから、大丈夫ではあるけれどね。
犬   :音訓索引や画数索引だと、1つの見出しの中に含まれる字数が膨大になって、なかなか目当ての字を見つけられませんから、二度手間になっても部首索引の方が早い事も多いんですけどね。…でも、統一感がないように見えるのは、なんだなあ…。
リディア:そこで実は、第4の索引があるのよね。
犬   :四角号碼(ヨンカクゴウマ)索引、ですね。
リディア:1920年代に中国で生まれた検索法なの。…簡体字に切り替えたあとでも認知されているかどうかはわからないけど。
犬   :日本では、僕の知る限りでは、大修館書店の辞書しか採用してないみたいですけどね。
リディア:まず、調べたい字の四隅に注目するの。それぞれの部分が、どのような形になっているのかをチェックするのね。
犬   :全例の紹介まではしませんけど、例えば、点が打たれているとか、横棒が引いてあるとか、「メ」「十」のように2画が交わっているとか、「司」の右上のように、2画が1点で接しているとか、ですね。
リディア:実際に一字をチェックしてみると、負犬山くんの禎の字は、左上が点、右上は横棒、左下は縦棒、右下は、2つの点が下向きに開いて並んでいるから、八の字型、という事になるわね。
犬   :そういった「筆形」が、10種類に分類されて、0から9までの番号が割り振られています。
リディア:ここで、四隅それぞれの筆形に対応した番号を、左上、右上、左下、右下の順に並べるの。
犬   :そうして導いた4桁の数字を頼りにして、この索引に当たると、辞書の何ページを見ればいいのかわかる。という仕組みです。
リディア:禎の字なら、点は3、横棒は1、縦棒は2、八の字は8。だから索引の3128の欄を見れば、引くべきページがわかるのね。
犬   :この方法でも、恣意的な印象は残ります。10種類に収めるために、似ているようには見えない筆形が同じ物とされている事もありますし、字の形によっては、チェックポイントが四隅ではない事もあります。
リディア:国、とか、街、など、いわゆる「かまえ」の字は、後半2桁ではかまえの内側をチェックする、とかね。…あと「一」みたいに隅が4つない字はどうするか、とか。
犬   :ただ、恣意性や不規則性があるとは言っても、それらを補うための規則が、そんなに多くはありません。…一部の部首がそうであった以上に、文字の成り立ちを無視してもいますが、その点を犠牲にした代わりに、徹底して形だけで区別されていますから、慣れてしまえば、部首区分よりは統一感を感じられると思います。
リディア:もちろん、慣れるまでが大変なのだけれどね…。
犬   :あと、4桁の数字1つに属する字の数は、だいたい20字以内に収まっているようです。ですから使いこなせば、検索性がいちばん高い索引になり得ますね。
リディア:負犬山くんが言ってくれたように、1社しか採用していないから、今はもちろん、今後も普及するかどうかは疑問ね。でも、こんな方法もある、と知っていてもいいんじゃないかしら。
犬   :では、今日の問題をお送りします。

  土用の丑の日に食べるといいもの。
   うどん うなぎ ウズラの玉子 宇治金時 宇都宮の餃子
   梅干し うまい棒 瓜 ういろう ウインナーソーセージ

リディア:………。
犬   :えーと……、今回はジョーク問題です。
リディア:そうよね!? ジョークなのよね!? こんなのを雑学だなんて言ったら、全世界の雑学マニアから総攻撃されるものね!
犬   :ですので、適当に考えて、怒らないで解説を聞いていただければ…。
リディア:みなさん、次回は、武器になるものが近くにないところで読んでね?
犬   :…そんなに血相変えなくてもいいと思いますけど…。


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posted by 負犬山禎之丞 at 20:43| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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