2009年07月01日

今日の解説「新幹線」

 リディア先生! リディア先生っ!
「あら負犬山くん。近頃はアンサーアンサーが熱いみたいね?」
 はい。5月末にバージョンアップされてから、2回ものイベント大会が行われましたからね。
「あなたは確か、2になる前には参加していなかったのよね?」
 ええ。なんだか1対1のバトルに苦手意識があるんですよね…。
「今でも、決勝では負け越しているものね」
 しくしく…。
「イベント大会は、負犬山くんの苦手な1対1の戦いを繰り返し、いい結果を出して、会場のビルを上へ上へと上っていくのが目的ね」
 上の階へいくほど、1度に上れる階数が少なくなり、上る条件も厳しくなります。
「勝てなかったら、下の階へ降ろされてしまう事もあるのよね」
 ですが、最終成績は、期間中にどこまで上れたかで決まります。最後にいた階が60階でも、1度は70階まで上っていたなら、最終成績は70階とされるんですね。
「それで、あなたの結果はどうだったのかしら?」
 最初の大会では、71階までで終わりました。
「なんて事! どうしてあと1階を諦めてしまったの!?」
 72は固い壁なんですよ……。で、1000位以内を僅かに逃してしまったんです。
「惜しかったわねえ。2回目の大会は?」
 今度は、少し頑張って100階を越えました。そしたら、最終順位が500位ちょうどでした。
「…そういう星の下に生まれた人なのね…」
 では、そろそろ解説を始めましょうか。

  北陸新幹線の停車予定駅。
   飯山  福井
   金沢  糸魚川
   直江津 妙高高原
   小松  富山
   上越  新黒部

 では、予定されるルートを追いながら、進めていきましょう。
「長野を出た新幹線は、10キロほど信越本線に沿って進むと、千曲川沿い、飯山線方面に向かうの」
 まあ、飯山線とは川の反対側を、かつトンネルの中を走るんですけどね。
「やがて緩やかに進路を変えて、飯山駅の南南東から北北西へまっすぐ抜けるように進みます」
 飯山の新幹線ホームは地下に造るんでしょうね。
「ちなみに、同駅の前後区間にできる飯山トンネルは、全長2万2225メートルになる予定で、開通と同時に、鉄道用トンネルとしては国内4位に躍り出るの」
 上越新幹線の、上毛高原−越後湯沢間に伸びる大清水トンネルが2万2221メートル。僅か4メートル差ですね。…なお、その時点で2位となるトンネルは、東北新幹線の全通に合わせて完成するものなので、現在のところ大清水トンネルは国内3位なんです。
「全世界でも5位の長さなのよね、今のところ」
 さて、トンネルを抜けると、そこは新潟県。上越市南方の平地に出ます。ここで針路を西にとって、脇野田駅で信越本線と交差します。この脇野田駅が、新幹線開通に合わせて、上越と改名する予定になっています。
「そしてまた山地を抜けるためにトンネルへ。糸魚川に停車して、またトンネル。富山県内に入るまで、トンネル群が続く予定ね」
 木曽路はすべて山の中にある、と評した文学作品に倣うなら、上信越路はすべて山の下、ですね。
「さて、ようやく平野の広がる地域に出たけれど、なるべくまっすぐ走りたい新幹線には、富山湾岸に沿って曲がりながら進む、北陸本線と並行して走るのは、無理な話よね。だから、在来線の黒部駅には寄らないで、新黒部という新駅を通る予定なの」
 新黒部駅は、富山地方鉄道との供用となります。東海道新幹線の岐阜羽島、山陽新幹線の新神戸と同様、JR線に乗り継げない駅になるんですね。
「新黒部から富山へ。そして、JR城端(ジョウハナ)線と交わる新駅、新高岡へ。ただ、城端線は、新幹線金沢開通と同時に、JR西日本から経営分離されるみたいね」
 青い森鉄道や肥薩おれんじ鉄道などのような、並行在来線切り離しですね。…よって、新高岡もJR路線に乗り継げない駅になりそうです。
「富山との距離、城端線の事情を考えると、高岡にいきたければ、新高岡までいかずに、富山で乗り換えた方がいいのかも知れないわね。…もっとも、金沢以東の北陸本線も分離されるんだけど」
 さて、新高岡を後にすると、倶利伽羅峠にほど近い県境でもう1つトンネルを抜け、そして金沢に到着します。
「金沢までの区間が開通するのは、2014年の予定よね。…でもね、これで完成ではないのよ?」
 計画では、高崎から新大阪まで伸びる事になっています。このうち、長野までが既通、金沢までが建設中、そして敦賀までが、着工に向けて準備が進められています。
「金沢−敦賀間に予定されている駅は、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、南越」
 という事で、今回の正解は、飯山、福井、金沢、糸魚川、小松、富山、上越、新黒部の8つです。
「でもねえ…」
 え?
「あなた、前回嘘ついたでしょ。2014年って明言した上に、全通とか言ってたわよね?」
 ……うわあ本当だ! やっちまった!
「これじゃ、整備計画を知っていて、全通と言ったのは勘違いだってわかる人でも、金沢までを想定しているものと思うわよ」
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
「よって、福井と小松とは、選んでいなくても正解とします。とりあえず負犬山くんにはおしおきいきまーす!」
 わあー!
「…スッキリしたわ。さて…ハズレ選択肢の、まず直江津は、大雑把に言えば長野のまっすぐ北にあって、なおかつ海のそば。長野から直江津へ向かうと、どうしても海に突き当たる形になって、その先に線路が引けなくなるからね」
 海岸線と並行に直江津に入ろうとすると、予定線よりずっと東へ回り込まないとならなくなります。…目見当ですが、40キロ以上も遠回りする必要がありそうです。
「妙高高原は、予定線から外れている事も理由だけど、何より立地条件が悪いわね」
 妙高高原駅のある信越本線は、25パーミルの勾配がのべ20キロ近くも続く上、谷間を縫って蛇行しています。特に妙高高原駅は、その蛇行と急勾配とのただ中にありますからね。
「クイズの解説は、このくらいで大丈夫かしら」
 ところで先生、さっき「整備計画」って言いましたけど、この説明もした方がよくありませんか?
「そうかもねえ。…それじゃ、なるべく軽く済ますつもりで…」
 …ええ、そのつもりで……。
「新幹線に関する法案などは、まず1970年に「全国新幹線鉄道整備法」が成立。そして71年には基本計画が、72年には整備計画が、それぞれ決定したのよね」
 このうち、整備計画に盛り込まれた、いわゆる「整備新幹線」は、計画通りにとは言えませんが、すべて現実に工事が進んでいます。北陸新幹線もその1つですね。
「ねえ、この際だから、計画のある路線、全部紹介しちゃう?」
 ……まあ、この際ですからね。
「それじゃ、…まずは整備新幹線から」
 これは、すでに建設が進んでいる、またはその目途が立っている区間と、まだ計画段階に留まっている区間とに分けて紹介します。
「まずは前者。東北新幹線の八戸−新青森間と、九州新幹線の博多−新八代間と。どちらも2011年までに開通させる予定ね。…東北新幹線が全通すると、総延長は676キロとなって、在来線含めて国内最長の路線になるわね」
 その東北新幹線に繋がるのが、北海道新幹線の新青森−新函館間。これは2015年に完成する予定となっています。
「また、九州新幹線の長崎ルートというのがあるの。まだ着工に漕ぎつけてもいないけれど、武雄温泉−諫早間が具体化しつつあるようね」
 一方、建設の目途が立っていない区間は、まずこの長崎ルートの新鳥栖−武雄温泉間と、諫早−長崎間と。
「そして、北海道新幹線の、新函館−札幌間。これは、長万部から倶知安(クッチャン)、新小樽を経て札幌へ至る、函館本線沿いのルートね」
 沿線の人々には、室蘭本線・千歳線に大動脈の役割を持って行かれた無念があるみたいで、なんとしても新幹線を通そうと頑張ってるようです。すでに札幌駅の西側には、線路を増設できるように土地が用意されてます。
「最後に北陸新幹線。金沢−敦賀間で、着工に向けた手続きが進められている事には触れたけれど、そこから新大阪までは、ほとんど具体化していないのよね。
 整備計画では、敦賀から若狭湾沿いに西へ進み、小浜辺りから南下するようになっていますが、このルートだとまた、京都府北部の山地でトンネル掘らないとなりませんね。この先、具体化したとしても、琵琶湖の東西どちらかを通るようになるような気もしますが…。
「そうすると、東海道新幹線と併走する区間でダイヤが混むとか、もう線路を増やせないとか、問題があるのではないかしら」
 ああ、なるほど。
「まあとにかく、現段階では白紙に近いのだけれどね。…以上、北海道、東北、北陸、九州2路線が、いわゆる整備新幹線なの」
 続いて、72年の計画からは外れた「基本計画新幹線」を紹介します。
「なんと言ってもまずは、中央新幹線よね?」
 まあこの路線については、昨今のニュースに目を通して頂いた方が正確でしょう。
「いちおう、基本計画でのルートは、東京から新甲府、名古屋を通って、伊賀越えをして大阪へ、という形になっているわね。
 基本計画では、以下で紹介する各線ともに、新大阪とはなっていません。…要するに中央リニア以外は、もう現状に応じて再考される事もなくなってるって感じですね…。
「中央リニアだって、厳密には、基本計画線とは別物なのよね」
 続いては、敦賀−米原−名古屋の北陸・中京新幹線。総延長50キロと、計画線の中ではいちばん短い路線ですね。
「現在、敦賀−米原間は、在来線の普通列車でも1時間足らず。また敦賀−名古屋間は、L特急「しらさぎ」で1時間半強で結ばれているのよね。だからやっぱり、ここに新幹線を、という話は、もう上がらないでしょうね」
 …北陸新幹線を、米原経由新大阪行きではなく、米原止まりにする、という事が考えられるくらいですかね。…でも、敦賀−大阪間も「サンダーバード」で1時間半足らずで通ってるんですよね…。
「…というわけで、基本計画新幹線って、もはや現実味さえなくなってしまった路線が多いの。でもね、中にはとんでもないものがあったりして、なかなか興味深いのよね」
 では、これから後は、北の路線から順に紹介していきます。まずは北海道新幹線、札幌−旭川間。そして南回りの長万部−室蘭−苫小牧−札幌ルート。
「次は、奥羽新幹線。…これはまあ、基本線の中では、将来実現してもおかしくはない路線よね」
 山形新幹線を、秋田まで延伸すれば、ほぼ計画通りですからね。…山形新幹線は、在来線と線路を供用する、ミニ新幹線として開通しましたが、計画では標準軌での敷設を予定していました。だから、ほぼ、なんです。
「ちなみに、基本計画では、福島と秋田とをまっすぐ結ぶ路線を載せたから、他に東北横断線の構想は盛り込まれていないの。だから、今の秋田新幹線は、当初の計画には全くなかった路線なのよね」
 さて次は、羽越新幹線です。他の路線と重ならない区間は、上越−長岡間、および新潟−秋田−青森間。路線として想定された区間は、富山−青森間。総延長は560キロにおよび、計画路線の中では3番目に長い路線です。なお、計画上2番目に長いのは、高崎−新大阪間の北陸新幹線です。
「次は、グッと西へいって、山陰新幹線。大阪−新下関間ね。…途中経路は、いいわよね?」
 それから、岡山−米子−松江間の、中国横断新幹線。「縦断」のような気もしますが、計画に載った名前はこうなっています。そして、岡山からはもう1つ、瀬戸内海を渡って高知へ至る、四国横断新幹線もあります。
「九州には、博多−大分−宮崎−鹿児島間の、東九州新幹線。そして、大分と熊本とを結ぶ、九州横断新幹線ね」
 九州横断、で想定された区間には、現在、人吉−熊本−大分−別府間の「九州横断特急」という名前の特急列車が、毎日4往復運行されています。熊本−大分間は2時間50分で結ばれています。
「さあーて、最後の1路線が素敵すぎなのよ?」
 四国新幹線。名前はありふれたものですけどね。…大阪と大分とを結ぶんです。
「西へ向けて大阪を発った路線は、神戸を過ぎてから、…淡路島を縦貫するの」
 まあ、現実に淡路島を通って本四を結ぶ自動車道も通ってますし、大鳴門橋は線路も敷けるように建てられてますし、…こちらはまあ、無茶な中にも可能性はありますけどね…。
「鳴門海峡を渡って四国へ上陸すると、瀬戸内海に沿って高松、松山を通るの。そして、狭い佐田岬を突き抜けて、なんと豊予海峡を渡るのよ?」
 なるほどよく見れば、海を越えて大分をまっすぐ指差しているようにも…見えるだけだってば!
「現在、豊予海峡は、フェリーを使って1時間10分で結ばれているの。でも新幹線が通ったら、たった10分になるのよ! ぜひ実現させるべきだわ!」
 仕事を探してる人、いっぱいいますから、あっと言う間に完成しますね! …そうかなあ…。
「新幹線関連法案をまとめたのは、当時の首相、田中角栄なの」
 個人的な人物評はさておき、凄い事を考えた人だとは認めますね。それに、なんと言うか…、一国の宰相が、こんな考えを提唱して、国定計画案にまでなってしまった時代って、悪くないと思いました。
「そうねえ。高度成長期の夢は感じられるわね」
 …僕には荒唐無稽に感じられてならない、豊予海峡横断案ですが、具体化に向けて検討を進めている方々もいらっしゃいます。「豊予海峡ルート推進」で検索してみて下さい。
「リンク貼ればいいのに」
 逆探されて、ここの記述を見られたりしたら、僕が青ざめますよ…。
「さすがチキン野郎超人」
 しくしく…。
「…と、まあ、これら含めて、営業運行されているもの、建設中のもの、着工のゴーサインを待っているもの、夢に終わりそうなもの、すべて合わせて、これまでに20の新幹線が計画されたのよ」
 なお他に、東北、上越、北陸新幹線の一部を、新宿発にしようという案もあります。また、新大阪から関西空港へ新幹線を通す案もありますね」
「では、新幹線の話はここまで」
 今回の解説には、新潮社刊行、今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳 6号・北信越』を大いに参考にしました。
「さて、今日は何を積み重ねてもらうつもりなのかしら?」
 あ、今日のクイズは積み重ねじゃありません。

  O.K. って、何の略?

「あらあら、またずいぶんシンプルじゃない?」
 ええ。ですが案外、みなさん気にしないで使ってるんじゃないですかね?
「まあ、辞書を引けばすぐわかる問題よね」
 そうですよ…ね、…あ、あれ?
「どうしたの?」
 ケンブリッジ大学が編集した辞書なのに、意味と用法としか載ってませんでした。
「それは当たり前でしょう?」
 えへへ。
「まあ、今回の答えには至らなくても、学習用辞書や辞書サイトなどで、意味や用法を調べてみると、なかなかおもしろいかも知れないわね」
 そんなわけで、挑戦してみて下さい。…あ、オクラホマ州の略ってのは駄目ですからね?
posted by 負犬山禎之丞 at 22:51| Comment(2) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オールライトみたいな感じかとおもってた O O〜る?
 k 発音しないKうしろがなんか?

Posted by よーく at 2009年07月03日 01:26
O は当たってます。
それと同様、K も本来のスペルには使われていません。

ちなみに、英和辞典に当たると「オーライ」ともあります。
ただ、o.k.の元となった言葉は all right のように日本語で馴染みのある言葉ではありませんね。
Posted by 負犬山禎之丞 at 2009年07月03日 19:06
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