2009年05月15日

今日の解説 「アケメネス朝」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。…今日もまた変な顔してるわね。
犬   :光栄です!
リディア:そうなの!?
犬   :それはそうと、この間、予選前後半合わせてちょうど100点だった生徒さんがいたんですよ。
リディア:へー。なんだか縁起がよさそうね。
犬   :その時の成績発表を見ていて、何か違和感を覚えたんですが、…どうやらその場合、小数点以下を表示しないんですね。
リディア:あら、そうなの?
犬   :他の点数だと、例えば120.00のように表示されるんですけどね。おそらく、これまで100点満点だった時の名残なんでしょうね。
リディア:それか、今作では予選が200点満点になるというのに、対処するのを忘れていたか、ね。
犬   :もしかすると、あえて放っておいたかも知れませんよ。それはそれで、僕みたいに面白がる奴がでてくるだろう、って。
リディア:ああ、言われてみると、それがいちばんありそうかも知れないわ。
犬   :…では、今日の雑談はこのくらいにして、解説を始めましょうか。
リディア:本題が長くなりそうだものね。

  アケメネス朝ペルシアによって滅ぼされた国

   新バビロニア王国  エジプト王国
   アッシリア     プトレマイオス朝エジプト
   イスラエル王国   リディア王国
   メディア王国    マウリヤ朝
   ユダ王国      マガダ国

リディア:まずは、アケメネス朝ペルシャについて、なるべく手短にお話ししようかしら。
犬   :勢力が興ったのは、紀元前7世紀の事と言われていますね。今のイラン西部、湾岸のパールス地方に興りました。
リディア:ペルシャという呼び方はこの地名からきているの。
犬   :始祖とされる人物はハカーマニシュ。ギリシャやローマの人達は、彼をアケメネスと呼びました。
リディア:それからしばらくの間は、メソポタミアやイランに覇を唱えた大国に服属していたのだけれど、前559年に指導者となったキュロス2世が、当時の宗主国、メディア王国に叛旗を翻し、前550には滅亡させ、自立して王朝を建てたの。
犬   :メディア王国は、東はイラン高原、西は今のトルコ北東部にまで及ぶ、当時最大の国土を誇っていた国でした。アケメネス朝は、その旧領の大半を版図に組み込んで、一気に大国にのし上がりました。
リディア:これを脅威として、3つの国が同盟を結んだの。…メソポタミアやシリア・パレスチナを治めていた、新バビロニア王国。トルコ西部に割拠したリディア王国。ナイル流域を2500年にわたって支配してきた、エジプト王国。この3つね。
犬   :ほかに、ギリシャの都市国家スパルタからも援軍が派遣されました。しかし、こうして大同盟を結びながら、彼ら3国は長らえる事ができませんでした。
リディア:最初に同盟側が仕掛けて、大きな戦いになったけれど、両軍ともに決定打を与えられないまま、冬を迎えようとしたのね。
犬   :冬になると物資の補給が困難になるため、大軍は動員されないのが、その頃の常識でした。ですから同盟側はいったん解散します。ところがキュロス2世はその隙を突いて、リディア王国へ攻め込みました。…寡兵ながら勇猛に、しぶとく、ねちっこく、いやらしく、腹黒く守ったリディア軍でしたが
リディア:待って、どうして私の顔を見ながら言うの?
犬   :な、何でもありませんよ? …わ、わかりましたごめんなさい、小銭で鼻を塞ぐのはやめて下さいっ!
リディア:リディア王国は、世界で初めて鋳造貨幣を使った事でも知られているのよ。
犬   :そのリディア王国も、奮戦空しく、前546年に滅亡しました。
リディア:同時に、地中海での橋頭堡を得たアケメネス朝は、オリエントとギリシャとの軍をほぼ分断させたのね。前538年には新バビロニアを征服。
犬   :前530年にキュロス2世が死に、カンビセス2世が後を継ぎます。彼の治世下、前525年にエジプトを征服。
リディア:これで、ギリシャ・ローマの人達から「オリエント」と呼ばれた世界、すなわちイラン、メソポタミア、シリア、パレスチナ、小アジア、エジプトを統一した大帝国が誕生したわけ。
犬   :以上の4カ国が、今回のクイズでの正解という事になりますね。おさらいしますと、メディア王国、リディア王国、新バビロニア王国、エジプト王国、です。
リディア:オリエントの統一は果たしたペルシャ帝国だけど、ギリシャのアテネとの戦いでは劣勢に陥ったの。都合3回にわたるペルシャ戦争のすべてに敗北して、その間に、エジプトやシリア、旧メディア諸地域で反乱が起きたのね。
犬   :余談ですが、前490年に勃発したマラトンの戦いで、長距離を1人で駆け抜けて息絶えた伝令の逸話がありますよね。彼が一言だけ残した報告を「我が軍勝てり」と訳されるのが一般的だと思います。…ですが正確には「いちおう危機は去った」という意味だと聞いた事もあります。
リディア:まあ、それはともかく。…都市国家アテネに対抗して、いちどはペルシャと協力関係を結んだスパルタも、前396年にはペルシャへ侵入。この頃、エジプトもいったん独立を果たしたの。
犬   :そして、前336年。マケドニアの若者がギリシャの大指導者として登場しました。名にし負うアレクサンダー大王です。
リディア:ギリシャ連合軍を結成し、前333年に地中海東岸でペルシャ軍を破り、エジプトへ侵攻。ペルシャ領はチグリス・ユーフラテス川流域まで縮小したの。
犬   :前331年には両川地域でペルシャ軍を破り、敗走したペルシャ皇帝ダレイオス3世が、前330年に臣下に暗殺されると、後を継ぐ者もなく国は崩壊。ここにアケメネス朝220年の歴史は幕を閉じました。
リディア:さて、と。今回の問題で示された選択肢の中には、歴史の流れをここまで詳しくは把握していなかったとしても、…まず、アケメネス朝がアレクサンダー大王に滅ぼされた事を知っていたら、彼よりも後の時代に興ったプトレマイオス朝エジプトは除外できるわよね。
犬   :クレオパトラ女王がローマ軍に敗れて滅んだ王朝ですよね。そのローマが台頭したのも、アレクサンダー大王の死後の事だったわけですし。
リディア:それから、アケメネス朝の勢力がおよばなかった、インドに興った国だとわかっていたら除外できたのも2つあるわね。
犬   :ガンジス川流域に建ったマガダ国、アレクサンダー大王死後に建ったマウリヤ朝。マガダ国は、仏教史との関連で言及されるかどうかというくらいで、受験世界史では重く見られませんが、マウリヤ朝という名前は、何となくでいいので記憶にあって欲しいところでしょうか。
リディア:あと3つの選択肢にも、いちおう触れておこうかしら?
犬   :はい。…オリエント地域を統一したのは、アケメネス朝が初めてではありません。前670年頃までに、イスラエルの一部を除いて統一を果たしたアッシリアが最初です。
リディア:アッシリア人が、国と呼べる規模の集団を形成していた痕跡は、早くも起源前2000年頃に見られるの。その後、拡大と衰退、大国への服従と自立とを繰り返しながら、1300年以上もの間、歴史の表に姿を見せ続けていたの。そして前750年頃、急激に力を増したのよね。
犬   :大量の鉄器で武装した農民兵が主力だったと言われています。
リディア:強力な王の力で版図を拡大、維持したアッシリアだったけど、最後の名君であるアッシュール・バニバルが死ぬと、あっと言う間に衰退してしまって、前612年にメディア王国によって止めを刺されたわ。でも、アッシリアが短い間に確立させた、広大な領地を統治する制度や方法は、その後この地に覇を唱えた大国に引き継がれていったとされているわね。
犬   :残る2つは、アッシリアが勢力を及ぼしきれなかった、イスラエルに興った王国でした。
リディア:この地で、異人種の支配から離れて、最初にヘブライ人の国を建てたのは、サウルという人。前1020年に国を興したこの人については、今ではあまり知られていないけれど、1代飛んでダビデ王と、その後継であるソロモン王の2人は、みんなも名前くらいは知っているわよね?
犬   :ソロモン王が前922年に死ぬと、72の使い魔が叛旗を翻し…嘘ですごめんなさい。
リディア:ここでは詳しい情勢はさておくとして、ソロモンが亡くなったその年のうちに、北部のイスラエル王国と、南部のユダ王国とに分裂したの。
犬   :このうち、イスラエル王国は、前722年にアッシリアによって滅ぼされます。また、ユダ王国はアッシリアの侵攻には耐えましたが、アッシリア滅亡後に、旧領の西部で覇権を握った新バビロニアによって、前586年に征服されました。
リディア:ふう…。簡単に済ませようとしても疲れたわね。
犬   :もう歴史クイズはこりごりですよ…。
リディア:まったくだわ。…それじゃ、気を取り直して、今日のクイズね?
犬   :はい。

  神聖ローマ帝国を治めた諸王朝

リディア:もうやめてーっ!
犬   :ウソです冗談です言ってみただけです! …本当はこちら。ライフスタイルの四択です。

  日本のNPO団体によって、2007年から大阪で大会が行われている競技は、
  次のうちどれ?

   エアレスキュー
   エアディナー
   エアドッグブリード
   エアチェス

リディア:…そのうち、パントマイムという言葉が死語になるんじゃないかと思うわね…。
犬   :何でもかんでもエアとつければいいってものでもありませんよね。…でも、正解の競技を知った時には、ある種の感動を覚えましたよ。
リディア:ハズレの選択肢は、あなたの独創?
犬   :ええ。問題難度をある程度下げようと、エアトランポリンってのも考えたんですけど。
リディア:物理的に無理じゃないかしら?
犬   :エア行司とか。
リディア:世界大会が無理だわ。
犬   :エアクイズ…。
リディア:あなたの作る問題が、空気じゃないの。
犬   :……うう。


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posted by 負犬山禎之丞 at 21:35| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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