2009年04月28日

今日の解説 「麻雀役」

犬   :リディア先生! リディア先生っ!
リディア:あら負犬山くん。大魔導士への扉も見えてきたみたいね?
犬   :はい。…それにしても、検定試験を含まない20クレジットって、凄く疲れるものだったんですね…。
リディア:それはそうでしょうよ。
犬   :3時間半もかかるとは思ってませんでした。最後の3クレジットくらいは、もう尿意との戦いで
リディア:やめなさい! 品がないわねえ。
犬   :12クレジットはトーナメントに参加したんですけど、とうとう1回も優勝できずに終わっちゃいました…。
リディア:アカデミーでも勝負弱いのね…。
犬   :でも、予選では1回だけ、あと少しで100点だったのに、って事がありました!
リディア:それは素晴らしいわ。何点だったのかしら?
犬   :100.50点でした!
リディア:……前後半合わせて100点だったとして、何を自慢するつもりなの?
犬   :ところで、別の試合では、予選の前半戦で綺麗に0点だったのに、終わってみたら4位で通過できたんですが、これって喜んでいいんですかね?
リディア:…わかった気がするわ。あなたって、予選番長なのね…。
犬   :さて、雑談はこのくらいにして、前回の解説を始めます。

  日本で作られた、麻雀の役、またはルール。

   振りテン    小四喜
   七対子     大車輪
   河底撈魚    金鶏独立
   二盃口     三連刻
   海底摸月    パオ(責任払い)

リディア:まずは、振りテンね。まあ、これはちょっとした通であれば知っているかしら?
犬   :これは完全に日本製ルールです。そもそも、中国では今でも、打牌は卓の中央に置かれた器の中へ、無造作に放り込むやり方が主流みたいです。
リディア:器の中で、たまたま欲しい牌が表を向いていたら、ツモ山から取る代わりに取っていい、という感じらしいわ。
犬   :当然、誰がいつ捨てた牌なのか、わかりっこありません。…明らかに自分が捨てた牌とわかっているものを拾うのもアリ、とする場合もあるそうです。
リディア:中国でも、日本式に近い競技ルールを導入しようという動きはあるの。でも、ルールについて行けずに逃げ出す参加者もいるそうよ。
犬   :何年か前にNHKの番組でやってましたね。…僕が、学生の頃に少し親しくした向こうの人も、日本人とは打てないってぼやいてました。
リディア:次の、小四喜だけど、これはヒッカケで入れたんでしょう?
犬   :まあ、その用をなすかどうか疑わしいとは思いつつ、ですけどね。大四喜との対比で、もしかしたら日本でできたものかと思わせられたらしめたものですけど。
リディア:あとで言及するけれど、既存の役やルールと対になりそうなものを、日本人が考え出したものって、結構あるのよ。…でも、四喜和は、大も小も古くからある役よ?
犬   :次は七対子。これはもう、アメリカ生まれだって事は常識の範疇でしょうか。
リディア:ポーカーのペア役になぞらえたものだという説が有力ね。同じようにして、フラッシュになぞらえて考え出されたとも言われているのが、緑一色よ?
犬   :そして、この新役に触発されて、日本で編み出されたのが、大車輪なんです。萬子には九連宝燈があり、索子には緑一色があるのに、筒子に役満役がないのは不公平だから、という発想でした。
リディア:現在では、逆に九連宝燈を萬子に限らないとするルールが出てきた一方で、筒子のための大車輪はローカル役にされているわね。
犬   :また、筒子のために作られた役なのに、後に萬子や索子での同型役が編み出されたりもしたみたいですね。
リディア:新しい役を作るのが好きだったのね、きっと。緑一色の形に、五索を使った面子を含ませた、叢中一点紅という役も作られたのよね。
犬   :次は…河底撈魚ですね。これも日本製なんです。
リディア:ツモ上がりに海底摸月という役があるのだから、ロン上がりにも役を、という発想ね。
犬   :なお余談ですが、後に魚がきている事からおわかりの通り、撈の字は、網を張って漁をするという意味で使われています。…自分の手で拾い上げるのが摸、人の手からアタリ牌が引っかかってくるのを待つのが撈。ですから、ハイテイツモの事を、海底撈月と言うのは、厳密には誤りです。
リディア:次の、金鶏独立は、初耳の方も多いかしらね。
犬   :これは、一索の裸単騎を手役の1つとした、中国で生まれた役です。まあ、他の面子が何であってもいいわけですから、これを認めてしまうと、一索は捨てるに捨てられなくなってしまいますよね。
リディア:ルールが整備されていくうちに、廃れてしまったのも道理なのね。
犬   :次の二盃口も、小四喜と同じで、古くからある役ですが、引っかかってくれたら出題者冥利に尽きるというだけの理由で入れました。
リディア:……酷い人。次の三連刻もそうなんでしょう?
犬   :あ、それは、別に書いておきたい事があるんです。
リディア:へーえ。ぜひ聞きたいわね。どんな事かしら?
犬   :れっきとした古役でありながら、どうしてローカル役扱いされる事になったのか、という事です。
リディア:ああ。…一色三順という役との兼ね合い、という説が有力よね。
犬   :はい。…下の牌形を見て下さい。

  一一一二二二三三三⑦⑧99  ロン⑨

犬   :赤の漢数字は萬子、丸囲み数字は筒子、緑は索子です。
リディア:…なるほど。これは当然、萬子の部分は面前で仕上がっているのよね?
犬   :はい。…さて、2飜役の三連刻を認める場合、この萬子を3組の刻子と見ると三暗刻三連刻で4飜、満貫ですね。文句ない高得点の上がりです。
リディア:だけど一色三順が認められるなら、この形では、萬子を刻子にしない方が、飜数が増えるのよ。
犬   :同じ色、同じ並びの順子を3組揃えた一色三順は2飜役。そこに、ピンフ、純チャンがついて、計6飜となります。
リディア:ハネ満になったわね。
犬   :ところが、ここで出たのが⑥だったら、一色三順、ピンフの3飜しかつきません。だったら刻子と見なして満貫にしますよね。
リディア:このように、状況に応じて、デキ面子の扱いを都合よく変えられるのは理に適っていない、という見解から、まず一色三順が廃止され、やがて、片方だけ外すのは不合理として、三連刻も公式ルールから姿を消したの。
犬   :…でも、上の形だと結局、アガリ牌次第で、三暗刻にするか、ピンフ、純チャンにするか、…役を廃止した意味はないんですよね。
リディア:では次。海底摸月については、改めて言う事はないわよね。そして最後の、パオだけど、これって厳密には2種類あるわよね?
犬   :はい。役満パオについては、今さらいいでしょう。もう1つ、ロン上がりをさせた時に、放銃者が1人で払うルールも、広義のパオに当たります。
リディア:…ああ、でも、どっちにしても日本ルールなのよね…。
犬   :ええ。中国の古いルールでは、ロン上がりでも3人払いですからね。これも、あいつ1人のせいで、何で俺も払わなきゃいけないんだ、という考え方から生まれたものです。
リディア:というところで、今日の解説はお終いね。正解は、振りテン、大車輪、河底撈魚、パオ(責任払い) 以上4つでした。
犬   :あと、経緯が厄介なんで、ここに入れられなかった役があるんですけど。
リディア:もしかして、リーチかしら?
犬   :はい。
リディア:英語っぽい名前からして、あからさまにアメリカ生まれだと考えられてしまうでしょうし、まあそれも半分当たりなんだけれどね。
犬   :聴牌を宣言する行為はアメリカ生まれなんですが、現行のリーチは日本生まれと言えます。面倒な事になってますね。
リディア:今では、もうこれ以上手を変えない代わりに、1飜つける手段になっているけれど…。
犬   :アメリカで生まれた時には、配牌でもうテンパってるぜどうだすげーだろー、って自慢だったんですよ。つまり、今で言うダブルリーチなんですね。
リディア:wikiにも説明があるように、麻雀は戦争中に、敵性文化として完全に廃れた後で、戦後にアメリカから再輸入されて、今の隆盛に繋がっているの。
犬   :そこで新たに加わっていたリーチというものを、聴牌に届いた事と解釈して、1950年代後半ごろから、途中リーチというものが行われ始めました。
リディア:中国にはない邪道ルールだ、手牌の形に関係ないところで点がつくのはおかしい、などとする反対派と、手役がなくてもいいから早く回せる、これはこれで戦略性が高まる、などとする推進派との間で、侃々諤々の議論が繰り広げられた末、認める向きがだんだん強まっていったの。
犬   :今日のように定着する決定打になったのは、やはり北場までの一荘戦から、半荘戦に主流が移ったような、スピード重視の動きでしょうね。
リディア:…こんなところかしら。…この問題は、麻雀をしない読者さんにはつまらなかったかも知れないわね。
犬   :思い当たる限りで、ここを読んでいそうな方の中に、知らなそうな方がいなかったんでゴーサイン出したんですけど…、どうでしたかね。
リディア:さて、今日のクイズは?
犬   :時間がないので凄くシンプルにいきます。

  日本でもっとも高いところにある地下鉄の駅は、海抜100メートルを超えるところに
  ある。○か×か。

リディア:…ぶち壊しにしていいかしら? これ、×じゃクイズにならないわよ。
犬   :ノンジャンル6問セットの中で出すならまだしも、ですよね。…まあ、せっかくですから、何線の何駅なのか、軽く調べてみてはどうでしょうか。
リディア:では、今日はこれまで。


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posted by 負犬山禎之丞 at 22:56| Comment(0) | 朦朧堂、衒学の間 | 更新情報をチェックする
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